2011年5月10日火曜日

プーさんの言葉

■2008/06/05 (木) プーさんの言葉

「くまのプーさんの言葉」     A.A.ミルン
Quotes from “Winnie the Pooh” by A.A.Milne

“Rivers know this: there is no hurry. We shall get there some day.”

「川は知っている。急ぐことはない、いつかはたどり着けるということを。」

“I used to believe in forever, but forever is too good to be true.”

「ぼくは昔、永遠を信じていた。でも永遠は、素晴らしすぎて、ありえない。」


■2008/07/21 (月) わたしは歸って行くであろう

「わたしは歸って行くであろう」     (「前奏曲」より)           野上彰(1909~1967)

わたしは歸って行くであろう
火山灰の積もっている谷の奥に
黄鶲(きびたき)が静かな巣を編んでいる樅(もみ)の林に

わたしは小さな丸木小屋を組んで住むであろう
きのこの生えた苔の上に
伊吹虎の尾に秋の終りの蜂が群れている崖の下に

わたしは死んで行くであろう
落葉松(からまつ)の月夜の霧につつまれて
わたしたちの上に積み重なった歳月の重さに喘ぎながら


■2008/08/17 (日) 三つの詩・尾形亀之助

「無題詩」            尾形亀之助(1900~1942)

夜になると訪ねてくるものがある

気づいて見ると
なるほど毎夜訪ねてくる変んなものがある

それは ごく細い髪の毛か
さもなければ遠くの方で土を堀りかへす指だ

さびしいのだ
さびしいから訪ねて来るのだ

訪ねて来てもそのまま消えてしまつて
いつも私の部屋にゐる私一人だ

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「彼の居ない部屋」
           
部屋には洋服がかかつてゐた

右肩をさげて
ぼたんをはづして
壁によりかかつてゐた

それは
行列の中の一人のやうなさびしさがあつた
そして
壁の中にとけこんでゆきさうな不安が隠れてゐた

私は いつも
彼のかけてゐる椅子に坐つてお化けにとりまかれた

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「夜の花をもつ少女と私」          

眠い――
夜の花の香りに私はすつかり疲れてしまつた

××
これから夢です

もうとうに舞台も出来てゐる
役者もそろつてゐる
あとはベルさえなれば直ぐにも初まるのです

べルをならすのは誰れです
××

夜の花をもつ少女の登場で
私は山高をかるくかぶつて相手役です

少女は静かに私に歩み寄ります
そして

そつと私の肩に手をかける少女と共に
私は眠り――かけるのです

そして次第に夜の花の数がましてくる

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