「風に言う」 Vai Dizer Ao Vento
パウリーニョ・ダ・ヴィオラ(1942-)ブラジル
訳:山田リオ
なつかしいと そう風に言う
幻滅の痛みは 忘れても
あまえがわたしに与えた あの苦しみ
あんなにも激しく 辛かったもの
それがいまは なつかしいだけ
もう 過ぎてしまったことだが
お前が わたしに与えたのと 同じ痛みを
お前もまた 味わえばいい (繰り返し)
永い間 わたしは
自分の人生を 振り返ってばかりいた
今はもう 心は静かだ
わたしの心にあった にがい 黒い影は
すっかり 消えてしまったから
今 わたしは新しい道を歩く
でも どうすれば
過去を忘れられるんだろう
心のなかに残された 空洞
なつかしさと 痛み
それだけを わたしに残して
風よ おまえは去って行った (サンバの歌詞)
八月の雨。
夏は ほぼ過ぎて
でも秋は まだ生まれていない
変に不安定な時間。
シルヴィア・プラス(1932-1963)
( 訳:山田リオ)
コオロギの合唱のなか眠りにつく
アブラゼミの終焉はコンビニの前
どのアブラゼミもあおむけで死んでいる
セミもわたしもみんなもそれぞれに
夏が過ぎて行く遠い雷の音
(無季自由律)山田リオ
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「この世界は美しいものだし、人間の命は甘美なものだ」
ゴータマ・ブッダ(紀元前五世紀)
訳:中村元(1912-1999)
山田リオ
窓を開けたら、雨戸の内側に、ヤモリがいた。
ヤモリもまた、私達の同居人だ。
死んでいるようだが、まだやわらかい。
あまりの暑さに、外に逃げようとしたが、
出られなかったらしい。
古い日本家屋なら、いろいろ隙間があるんだけど。
かわいそう。
ヤモリは、庭の日陰の、ヤツデの葉に置いた。