2016年1月25日月曜日

蜘蛛 ② 近況


全長5mm Copyright ©2016RioYamada

 十二月に掲載した
アダンソンハエトリグモの牡
しばらく見なかったのですが
陽差しがいっぱいの暖かい午後
やっと現れました
部屋の壁を活発に動き回っています
たいへん元気そうです
うれしかったので
写真を撮りました
            や

蜘蛛は気持ち悪いという人がいるけれど
このハエトリグモが家の中で冬、生きていられるのは、ダニを食べてくれているからなのです。だからこの蜘蛛はわたしたち人間の敵ではありません。みかたなんです。
だから見つけても、殺さないでくださいね。おねがいします   や
 



2016年1月5日火曜日

鴉語録



いつも来るカラスの、今朝のお言葉です。

声の高さから、ハシボソガラスと思われます。

やわらかな調子で、何度も同じ言葉をくりかえしています。mp、メッツォピアノくらい。

「あー、あぁ、かぁ。」で、休み、また繰り返す。
なにか、おだやかなことを言っているようです。

かなり幅広い語彙を持っているようで、折にふれて記録していこうかな、と。

やまだ

2016年1月4日月曜日

尾崎放哉 ⑤


             尾崎放哉(1885-1926)

              (おざきほうさい、無季自由律俳句)
 

師走の夜のつめたい寝床が一つあるきり

起きあがった枕がへっこんで居る

雪を漕いで来た姿で朝の町に入る

雪の戸をあけてしめた女の顔

帽子の雪を座敷迄持って来た

小さい火鉢でこの冬を越さうとする

とはに隔つ棺の釘を打ち終へたり

アノ婆さんがまだ生きて居たお盆の墓道

線香が折れる音もたてない

墓にもたれて居る背中がつめたい

蛇が殺されて居る炎天をまたいで通る

蛍光らない堅くなってゐる

何がたのしみに生きてると問はれて居る

きかぬ薬を酒にしよう

わが顔ぶらさげてあやまりにゆく

笑へば泣くやうに見える顔よりほかなかった

ポストに落としたわが手紙の音ばかり

蚊帳のなか稲妻を感じ死ぬだけが残ってゐる


                       尾崎放
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    放哉を葬る
痩せきった手を合わしている彼に手を合わす             荻原井泉水(1884-1976)


2016年1月1日金曜日

歌人鳥居


揃えられ主人の帰り待っている飛び降りたこと知らぬ革靴 

空しかない校舎の屋上ただよひて私の生きる意味はわからず

慰めに「勉強など」と人は言ふ その勉強がしたかつたのです

姉さんは煙草を咥へ笑ひたくない時だつて笑へとふかす

待ち受けの(旦那と子ども)を見やる人 緞帳(どんちょう)あがりポールに絡まる

履いたきり脱げなくなつたと笑ひけり踊り子たちの冷たい裸

ラベンダー遺品となりし枯野にて病みゆく母の怒鳴る声抱く

生きている人より死んだ人ばかりくっきりと見える輪郭の淵

身寄りなき赤子は強く泣きつづけ疲れを知って一人静まる 

刃は肉を斬るものだった肌色の足に刺さった刺身包丁

揃えられ主人の帰り待っている飛び降りたこと知らぬ革靴 

                                                                     歌人 鳥居