山田リオCopyright ©2015RioYamada
一日ごとに、すこしずつ
風の匂いが変わり
羽に触れる空気の感触
土、草木、そういうものが
動き出そうとする、その前に
鳥のなかで、なにかが蠢き始める
なにを思うというわけでもなく
わけのわからないものに突き動かされ
鳥は飛び立って
はるか遠くのどこかへ向かって翔んでゆく
鳥はいつでもそれができる
鳥は身一つだから、翼があるから
鞄もバッグも袋もポケットもリュックも財布も
家も財産も家具も蔵書もなにもないから
ひとり、どこか遠くのほうへ
翔んでゆくことができる
人は、なかなか、それができない
財産と言う名の粗大ゴミや
燃えるゴミ、燃えないゴミ、資源ゴミ、
クズ、ガラクタ、名前のつけられない
数え切れないモノたちから
人は自分を引き剥がせないから
なかなか飛び立つ機会がないまま
食い、眠り、老いていく
それでも、時が来て
風の匂いが変わり
歩む地面の感触が変わり
住む世のトポロジーが歪み始め
そして、とうとう、その日が来ると
人もまた、鳥とおなじように
旅立つ
ほんとうに一人で
何一つ持たず
全てのゴミ、クズ、ガラクタを後に残して
裸体で旅立ってゆくわたしたちは
翼のない鳥のようだ
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2015年2月23日月曜日
2015年2月13日金曜日
2015年2月12日木曜日
安住 敦 ①
しぐるるや駅に西口東口
小でまりの愁ふる雨となりにけり
梅雨の犬で氏も素性もなかりけり
あさがほをだまって蒔いてをりしかな
鶏頭を水無き壷に挿して忘る
蓑虫の出来そこなひの蓑なりけり
柿啖へばわがをんな少年のごとし
耐へがたきまで蓮枯れてゐたりけり
安住 敦(あずみ あつし、1907-1988)
2015年2月9日月曜日
2015年2月5日木曜日
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