2015年2月13日金曜日

藤山直樹

花の色染みたる脳の朝寝かな

ゆふざくら逢うてたちまち眠るなり

写真焼く焔むらさき春の暮

猫死んで桜月極駐車場

桜餅餡透けて雨兆すなり

思ひ寝のあと草餅のやはらかき

草餅の雨の匂ひのしてゐたり

梅雨寒や高座布団の芯かたき

薔薇切って空気いきなり濃くなりぬ

衰へて明るき脳や葱の花                                        

さびしさや焼蛤の噴きこぼれ                                          


焼飯の卵おだやか海の家

オルガンの音ずれてゐる暑さかな

蝉の穴鬱の極みも過ぎにけり

病む人の爪透きとほるしらが葱

寒鯉に纏はる水の粘りかな

遠くまで行く切符なり冬の雲

紙ほどの薄さのこゑの冬鴎

抽斗の闇の矩形の寒さかな

                      藤山直樹(1953-)

0 件のコメント:

コメントを投稿