2011年7月31日日曜日

俳句その二

しゃべるしゃべる二つの耳はただの飾り

珈琲ぽたぽた落ちている時が花

紙袋からもれる白桃のかおり 

白桃を剥いて切りわけた指のかおり

ナンをください料理はあとでいい

食べ終わって出されたクミンを噛む

夜の駐車場を風が抜けていく

暗い道のどこかにたしかにジャスミン

夜だれかがアラブの楽器を弾いている
                  山田リオ

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2011年7月21日木曜日

痛風の詩

おおおおお
あああああ
なんて痛いんだ経験したことのない痛み
かなり痛い思いをしてきたと自負していたんですがね
右足の中指の関節が明太子になってしまった
まあ痛いとは聞いていましたが
こんなに辛いのは想定外だったですよ
想像を絶するというのが正しい表現だ
靴下をはいても、当たるから、はだしで生きる
靴なんか論外
そこで草履を買いましたさ
ハナオのついたビーチサンダル
これならどうにか少しだけ歩けないこともないかもしれないが
それにしても何故なのか
ビールなんかぜんぜん呑まないし
レバーの焼き鳥を食べた記憶も遠い昔のことだ
あんずのジャムは、ほんの一口食べただけなのにな。

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2011年7月18日月曜日

杏 その②

杏 その②

あとでまた、2kg買い足して、合計4kg買いました。あんず4kgで、なんと全部で900円でした。生産者には申し訳ないですが、杏は時期が短いので出荷が集中するんですね。それで安くなっちゃう。杏をまず、生で食べてみましたが、「こんなに美味しいものを、はたしてジャムにしてしまっていいものだろうか?」と思うほど甘く、香りがあるあんずでした。さて、結局、2kgずつ二回にわけて煮ました。一回目はライム多めで、砂糖少な目、二回目は砂糖多めで、レモンを少しだけ。干すときと、煮るあいだに, うんと水分が蒸発するので、出来上がると、4kgあったのが、出来上がりは1.5kg以下になります。これはあとで入れた砂糖の重さを入れると、5kg以上あったわけですが、減るもんです。で、450gの瓶で3本、出来ました。瓶とふたは、もちろん熱湯消毒。出来上がったジャムを一晩冷蔵庫で冷やしてから、パンとバターで食べました。驚くほど美味しい。どっちが好きかは、好みですね。市販のジャムは概して甘すぎるので、最初の砂糖少な目は新鮮です。砂糖が少ないせいで、色は薄い。二回目のは、こちらは、濃いあんず色に仕上がりました。シルクロードの杏ジャムに近い味です。(手前味噌)

2011年7月17日日曜日



朝、買い物に行ったら、杏を売っていました。
糸井重里さんの杏のジャムのレシピを読んで、「うまそうだな」と思った直後だったので、2kg買いました。ジャムに必要なレモンのかわりに、ライムも買いました。
ライムは果汁だけ使うので、皮で香油を作ります!ジャムができたら報告します。

2011年7月16日土曜日

ねむの木(抜粋)

 ところが、そのときはもうそらがいっぱいの黒い雲で、も変に白っぽくなり、
山の草はしんしんとくらくなり、そこらはなんとも言われない恐ろしい景色にかわっていました。
 そのうちに、いきなり上の野原のあたりで、ごろごろごろと雷が鳴り出しました。
と思うと、まるで山つなみのような音がして、一ぺんに夕立がやって来ました。
風までひゅうひゅう吹きだしました。
 の水には、大きなぶちぶちがたくさんできて、水だか石だかわからなくなってしまいました。  
みんなは河原から着物をかかえて、ねむの木の下へ逃げこみました

 (略)外はもうよほど明るく、土はぬれておりました。家の前のの木の列は変に青く白く見えて、
それがまるで風と雨とで今洗濯をするとでもいうように激しくもまれていました。
 青い葉も幾枚も吹き飛ばされ、ちぎられた青い栗のいがは黒い地面にたくさん落ちていました。   空では雲がけわしい灰色に光り、どんどんどんどん北のほうへ吹きとばされていました。
 
(後略。さあ、作者と出典、わかりますね?)

2011年7月8日金曜日

あの町

                             木村信子
自転車に乗って家を出た    
野良ではまだ近所の人達が働いていたがあたりはもううす暗かった    
わたしは誰にも声をかけられないようにうつむいたままぺたるを強く踏んだ    
わたしはあの町へ行くのだ    
追い剥ぎの森を通り    
すすきの原を通る頃はもう夜だろうから    
自転車はその辺にあずけておけば弟が取りに来てくれるだろうから    
電車に乗って行こうと駅をさがしたが見あたらないので    
きいてみたらこの村には駅などないと言う    
そんなはずはないのだ    
この村はわたしの生れ育った村でわたしは前にも駅から電車に乗って
あの町へ行った事があるのだから    
自転車を押して歩いていると    
たのしかったわねえという声がして    
可愛いこどもが二人走って来た    
見たことがないこどもなので    
この村に遊びに来たのときくと    
ここはあの町よと不思議そうにわたしをじろじろ見た    
するとこどもの頃のわたしがあの町へ遊びに行ったまま帰らなかったことに     
気がついて    
早くさがしに行かなければと思って    
それから大人になってからのわたしは一度もあの町へ行った事がないのに
気がついて    
おかあさんおかあさんと泣いているこどもの頃のわたしの声がきこえてきて    
それを追いかけても追いかけても追いつけないで    
わたしはどこまで行ってもこの村から出られないようだ