2014年4月29日火曜日

ホース・ウィスパラー


「馬はいつだって変わらない。論理的だ。
馬は、自分にとっていちばん楽なことをする。
もし馬にとって、いちばん楽なことが、人を振り落としたり蹴ったりすることなら、
もし、そういうふうに人間がしむけるなら、馬はきっとそうする。間違いなくそうするよ。

でも、もし馬が、リラックスして、おだやかで、そして正確に行動することがいちばん楽なように、
そういうふうに人間がしむけてあげれば、
そしてそれが、人と馬との共同作業としての美しいダンスになるのなら、
もう、すぐに馬は、それをやりたくてしかたがなくなる。
「やろう、やろう」、って言い出す。人間と同じようにね。

何でもそうなんだ。
馬が楽にできるように、そう人がしむけてあげれば、
それはきっと、その馬の得意技になるんだよ。」
 

ダン・バック・ブラナマンはアメリカの馬の調教師。
実在するホース・ウィスパラー(馬にささやく人)。
ニコラス・エヴァンスの小説のモデルになった人です。 
映画の邦題は「モンタナの風に吹かれて」とかいうものに変えられてしまいましたが、
この劇映画の本来の題名は、言うまでもなく 、「ホース・ウィスパラー」です。
そして彼の馬の教育法は、そのまま人間の教育にも当てはまる気がします。

また、彼を題材にしたドキュメンタリー映画 "Buck" は、サンダンス映画祭などで高い評価を受けました。 Copyright ©2014RioYamada



2014年4月20日日曜日

岸田衿子




なぜ 花はいつも         

なぜ 花はいつも
こたえの形をしているのだろう
なぜ 問いばかり

天から ふり注ぐのだろう
   


 スノードロップ                                                                        
 

空からの光ともちがう
だれかがともした灯りともちがう
花は じぶんの内側にひかりを持っていて
外側の花びらで 包んでいる
遠くからきこえてくるのではない
近くで誰かが口ずさんでいるのではない
花からひとりでにこぼれるうたがある
ゆきをとかした しずくのように
花の灯りと 花のうたは
いつのまにかふえて
谷間を みたしている 


                    岸田衿子(1929-2011)

2014年4月17日木曜日

O nome de uma flor


             山田リオ

排水口に咲いた花
あなたの名前は
知りません
でも
あなたを好きです    

Copyright©2014RioYamada

2014年4月12日土曜日

曇天

 

           尾形 亀之助(1900-1942)

遠くの停車場では
青いシルクハツトを被つた人達でいつぱいだ

晴れてはゐてもそのために
どこかしらごみごみしく
無口な人達ではあるがさはがしく
うす暗い停車場は
いつそう暗い

美くしい人達は

顔を見合せてゐるらしい

2014年4月9日水曜日

鶸の雨


我が命惜しと悲しといはまくを恥ぢて思ひしは皆昔なり

我が心萎(しな)えてあれや街を行く人の一人も病めりとも見ず

山椒の花はみのらず花咲かぬ山椒の木に實はむすぶとふ

知らなくてありなむものを一夜ゆゑ心はいまは昨日にも似ず

かくのみに心はいたく思へれや目さめて見れば汗あえにけり

あかしやの花さく蔭の草むしろねなむと思ふ疲れごゝろに

人は我ははかなきものかひたすらに悲しといふもわがためにのみ

打ち萎え我にも似たる山茶花の凍れる花は見る人もなし
 

山茶花のわびしき花よ人われも生きの限りは思ひ嘆かむ
 

山茶花は萎えていまは凍れども命なる間は豈(あに)散らめやも

障子張る紙つぎ居れば夕庭にいよいよ赤く葉頭(けいとう)は燃ゆ       

唐鶸(からひわ)の雨をさびしみ鳴く庭に十もとに足らぬ黍(きび)垂れにけり
                                                                                                      
                                                            長塚節(1879-1915) 


「ながつかぶし」ではありません
「ながつかせつ」でもありません
ながつかたかし、と読みます

2014年4月4日金曜日

花弁

Copyright©2014RioYamada

つぼみがふくらみはじめて、散るまで
風の吹く日も、雨の降る日も
五風十雨、日々変化する桜を
自分の眼で見届けることができた春だった。

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靴は脱いでしまって
はだしで歩こう
はなびらを踏んで
足裏に春の冷たさ

そして
もしも運がよければ
はなびらもいっしょにつれて
この足で歩いて
家に帰ろう    Copyright©2014RioYamada     

2014年4月1日火曜日

ダウントン・アビー四年目

Ponte Vecchio

英国のテレビドラマ、ダウントン・アビーも、シーズン4が終わりました。
このシーズン、第三回には、ゲストとして、ソプラノ歌手、キリ・テ・カナワが出演しています。

劇中で、彼女は、ドヴォルジャークの「わが母の教え給いし歌」と、
プッチーニのオペラ「ジャン二・スキッキ」から「O mio babbino caro」を歌いました。
写真は、言うまでもなく、この歌に歌われている橋です。


このシーズンは、心配していたことが現実となった感が・・ 
この春、NHKで放映が始まるので、詳しいことは書かないでおきます。     山田                                                                              Copyright©2000RioYamada

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