雨降ってゐる金魚玉吊りにけり
世にも暑にも寡黙をもって抗しけり
蝉しぐれ子の誕生日なりしかな
また職をさがさねばならず鳥ぐもり
ひやびやと日のさしている石榴かな
鳥渡る終生ひとにつかわれむ
花柳章太郎よりとどきたる切子かな
職替えてみても貧しや冬の蝿
留守に来て子に凧買ってくれしかな
雪の降る町といふ唄ありし忘れたり
安住 敦(あずみ あつし、1907-1988)
夕ざくら子の手冷たくわが手にあり
しぐるるや駅に西口東口
小でまりの愁ふる雨となりにけり
梅雨の犬で氏も素性もなかりけり
あさがほをだまって蒔いてをりしかな
鶏頭を水無き壷に挿して忘る
蓑虫の出来そこなひの蓑なりけり
柿啖へばわがをんな少年のごとし
耐へがたきまで蓮枯れてゐたりけり
安住 敦(あずみ あつし、1907-1988)