2022年8月31日水曜日

自由律俳句 08/05/2011


夜の河が見えない夜鶯の歌   夜鶯(ナイチンゲール)

夜風に吹かれている木のとなりに座る

道端のテーブルろうそくが風にゆれて

紅いさくらんぼをひと息に歯で殺す

ハイビスカスが咲いて一日中鳥の歌 

オレンジを洗う水を止めると鳥の歌

窓の外は鳥の歌なのに涙ながれる

珈琲ぽたぽた落ちている時が花

紙袋からもれている白桃のかおり 

白桃を切りわけたあとの指のかおり

ナンをください料理はあとでいい

ナンを食べ終わってクミンを噛む

夜の駐車場を風が抜けていく
暗い道のどこかにたしかにジャスミン

だれかがアラブの楽器を弾いている夜
 
スイカを食べている人を見ている

静かなおだやかな音楽のなかにいる

便器を磨いている時間だけの平和

もう会えない人 でもまだそこにいる人

朦朧として歩く雨を思って歩く

途方に暮れているのに笑っていた

静かな細い音楽を全身に浴びている

ヒアルロン酸洗顔クリームで歯を磨いてしまった 

どんなに一人でもまた誰かと出会う
                    山田リオ Copyright ©2011RioYamada

2022年8月20日土曜日

 眠りから覚めても此処がうつつだというのは少し待て鷺がゐる

                  笹井宏之 (1982~2009)

2022年8月18日木曜日

今日

 ともかくも家の明かりを全部消す今日のつじつまは合はなくてよし

                  永井陽子 (1951~2000)

2022年8月6日土曜日

実朝

世の中は鏡にうつる影にあれやあるにもあらずなきにもあらず

                 源実朝 (1192~1219)
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2022年8月4日木曜日

 透き通る桃に歯ブラシあててみる(こすってはだめ)こすってはだめ

                    笹井宏之 (1982~2009)

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