硝子

透明を幾つ重ねてやや緑くなりたる硝子日翳るに似る

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　緑く（あをく）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 河野 裕子（かわの ゆうこ、1946-2010)

冬菜

限りなく互みに傷つき眠らむとす暁霜に吹く風を聴きつつ

嘘つきて憎みてかつは裏切りて夕べざぶざぶ冬菜を洗ふ 
 　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　河野 裕子（かわの ゆうこ、1946-2010)

永遠

死は、人生の中にある出来事ではない。
私達は、死を経験するために生きるわけではない。
永遠は、けっして無数の瞬間の集合体ではなくて、
むしろ、時間というものが無くなった状態だとするなら、
永遠の命は、今を生きる、今の、この瞬間を生きる、
そういう人だけのものだ。

 　　　　　ルトヴィック・ヴィットゲンスタイン(1889 – 1951)

冬 斎藤茂吉

　　　　　　　　　　　　　　　斎藤茂吉（1882-1953)

われひとりねむらむとしてゐたるとき
外はこがらしの行くおときこゆ

ゆふされば大根の葉にふる時雨
いたく寂しく降りにけるかも

Abyss

　　　　　　　　山田リオ
アビス
底なし穴　
計測不可能の深い空間
無限に深い穴
地の底　どん底　
限りない不安
深淵　無間地獄
カオス　混沌
絶望　希望が無い状態
無知　不可知
言葉でも音楽でも絵でも表せない物Copyright ©2019RioYamada

どうだ

©RioYamada

　　　　　　やまだりお

上から　ぜーんぶ
ぬりつぶしてやった
これで　もう
なーんにも　見えない 
Copyright ©2019RioYamada

変貌

 　　　　　　　　　山田リオ　　
絵の具をパネルに塗る
絵が出来る
乾いたらまたその上に
描いていく
違うのが出来上がる
またその上から
どんどん描いていって
肖像が静物になり抽象になり
それから風景へと
絵は変貌していく
そうか
だからひとは絵を描くのか
自分は変われないから　な
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時計

「あなたが永遠に生きているかの如く、夢を追え。
今日があなたの死ぬ日であるかの如く、生きろ。」

　　　　　　ジェームス・ディーン(1931–1955)

衣河 西行

   

          　　　　　　　

     (十月十二日、平泉にまかりつきけるに、
　　雪ふり嵐はげしく事のほかに荒れたりけり。
　　いつしか衣河みまほしくて、まかりむかひて見けり。
　　河の岸につきて河の城しまはしたる事柄、
　　やうかはりて物を見る心ちしけり。
　　汀こほりてとりわけさびしければ）

とりわきて心もしみてさえぞ渡る衣河みにきたる今日しも　

　　　　　　　　　　　　　　　　西行法師(1118-1190)

名残の

2011年6月8日水曜日

若葉がだいぶ出てきたので
花も、もうすぐ終わりです
曇りの日々も、あとすこしで
五ヶ月の、日照りの夏が始まります