2011年7月16日土曜日

ねむの木(抜粋)

 ところが、そのときはもうそらがいっぱいの黒い雲で、も変に白っぽくなり、
山の草はしんしんとくらくなり、そこらはなんとも言われない恐ろしい景色にかわっていました。
 そのうちに、いきなり上の野原のあたりで、ごろごろごろと雷が鳴り出しました。
と思うと、まるで山つなみのような音がして、一ぺんに夕立がやって来ました。
風までひゅうひゅう吹きだしました。
 の水には、大きなぶちぶちがたくさんできて、水だか石だかわからなくなってしまいました。  
みんなは河原から着物をかかえて、ねむの木の下へ逃げこみました

 (略)外はもうよほど明るく、土はぬれておりました。家の前のの木の列は変に青く白く見えて、
それがまるで風と雨とで今洗濯をするとでもいうように激しくもまれていました。
 青い葉も幾枚も吹き飛ばされ、ちぎられた青い栗のいがは黒い地面にたくさん落ちていました。   空では雲がけわしい灰色に光り、どんどんどんどん北のほうへ吹きとばされていました。
 
(後略。さあ、作者と出典、わかりますね?)

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