2011年5月11日水曜日

杉田久女


娘がいねば夕餉もひとり花の雨 
(こがいねばゆうげもひとりはなのあめ)

花衣ぬぐやまつわる紐いろいろ 
(はなごろもぬぐやまつわるひもいろいろ)

朝顔や濁り初めたる市の空    
(あさがおやにごりそめたるいちのそら)

露草や飯吹くまでの門歩き    (つゆくさやいいふくまでのかどあるき)

船板に東風の旗かげ飛びにけり (ふないたにこちのはたかげとびにけり) 

鳥雲にわれは明日たつ筑紫かな (とりくもにわれはあすたつちくしかな)

谺して山ほととぎすほしいまま   (こだましてやまほととぎすほしいまま)

                                         杉田久(1890-1946)

引越し第一回の記事に、杉田ひさを選びました。
この女性の波乱の生涯については、吉屋信子の「底の抜けた柄杓」という伝記があります。
また、戸板康二も「泣きどころ人物誌」という評伝で取り上げています。              やまだ

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