■2010/04/20 (火) 「少女」 |
「少女」 エズラ・パウンド 訳:山田リオ
一本の木がわたしの両手の内部に入り、
樹液はわたしの両腕の中を流れ、
木は私の胸の中で育つ
下に向かって、
わたしから枝が生え出る、腕のように。
木はあなた、
苔はあなた、
あなたは風が吹きすぎるスミレの花。
あなたは・とても背の高い・子供、
そしてこんなものはみんな世界に対する愚行だ。
エズラ・パウンド(1885-1972)男性。アメリカの詩人。人生の大部分をヨーロッパで暮らした。
■2010/04/14 (水) 「うれしいひと」再録 |
「うれしいひと」
山田リオ
永いあいだ会っていない人から電話がかかってきて
声を聞けば、その人がほほ笑んでいるのがわかる
自分も、話しながら自然に顔がほほ笑んでいる
「会いたいね」、そう口に出さないでも
おたがいが、そう思っているのがわかる
毎日、たくさんの時間をいっしょに過ごす人でも
その人がいなければ、会いたいと思う
そして、会って、いっしょにいれば
やっぱりうれしいから
自然に、笑顔になってしまう
ごくたまに、すれちがうような人で
名前も知らず、職業も地位も学歴も知らず
たとえ会っても、一言、二言
それで、またいつ会えるかわからない
そういう人でも、会って、目を見れば
おたがいの目がほほ笑んでいるから
おたがいが、会えてうれしいということがわかる
でも、別に、言葉でそれを言うわけでもなく
世間話や生活や仕事や子供のことや
そういう話を、ながながとするわけでもなく
「じゃ、また」それだけで、背を向けて歩み去ってゆく
でも、心の中ではあの人と会えたことがうれしくて
そしてあの人も、きっとそう思っているような気がするから
わたしは、しばらくの間、うれしい気持ちになるのだ
(All rights reserved 、2005Rio Yamada
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