2011年5月10日火曜日

うれしいひと


■2010/04/20 (火) 「少女」

「少女」          エズラ・パウンド 訳:山田リオ

一本の木がわたしの両手の内部に入り、
樹液はわたしの両腕の中を流れ、
木は私の胸の中で育つ
下に向かって、
わたしから枝が生え出る、腕のように。

木はあなた、
苔はあなた、
あなたは風が吹きすぎるスミレの花。
あなたは・とても背の高い・子供、
そしてこんなものはみんな世界に対する愚行だ。

エズラ・パウンド(1885-1972)男性。アメリカの詩人。人生の大部分をヨーロッパで暮らした。


■2010/04/14 (水) 「うれしいひと」再録
■2005/02/09 (水) うれしいひと

「うれしいひと」 
                      山田リオ
永いあいだ会っていない人から電話がかかってきて
声を聞けば、その人がほほ笑んでいるのがわかる
自分も、話しながら自然に顔がほほ笑んでいる
「会いたいね」、そう口に出さないでも
おたがいが、そう思っているのがわかる

毎日、たくさんの時間をいっしょに過ごす人でも
その人がいなければ、会いたいと思う
そして、会って、いっしょにいれば
やっぱりうれしいから
自然に、笑顔になってしまう

ごくたまに、すれちがうような人で
名前も知らず、職業も地位も学歴も知らず
たとえ会っても、一言、二言
それで、またいつ会えるかわからない
そういう人でも、会って、目を見れば
おたがいの目がほほ笑んでいるから
おたがいが、会えてうれしいということがわかる
でも、別に、言葉でそれを言うわけでもなく
世間話や生活や仕事や子供のことや
そういう話を、ながながとするわけでもなく
「じゃ、また」それだけで、背を向けて歩み去ってゆく
でも、心の中ではあの人と会えたことがうれしくて
そしてあの人も、きっとそう思っているような気がするから
わたしは、しばらくの間、うれしい気持ちになるのだ

(All rights reserved 、2005Rio Yamada
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