2011年5月21日土曜日

チベットの六戒

■2004/11/13 (土)

チベットの六戒

1物事の裏を知ろうとするな。心に波風を立てるな。

2いかなる人にも欠点を見るな。

3どんな出来事、言葉にも、傷ついたり、苦しんだり、自分を責めたりするな。

4進歩の兆しがあったとき、何も期待したり待ちのぞんだりするな。

5怠けようとする心に屈服するな。

6自分のなした事を常に検査し、整えること。

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2004年に掲載した「チベットの六戒」を再録しました。
自分が、これを忘れないようにするためです。

                      山田

(チベットの六戒は、ニューヨーク時代に街で出会ったホームレスの男から聞き、書き取っておいたものを日本語に訳したものです。----と書きましたが、この人物のことを、同じ月に、詩に書きました。ここに併せて再録させていただきます。)

 ■2004/11/25 (木) HE
『HE』
                    山田リオ

そのホームレスの男に会ったのは
ニューヨーク、マンハッタンの
人間を価値で分類すると
うんと低いと思われる人たちが集まる街
つまり中毒者や病人や落ちこぼれが
居住権もなく勝手に住んだり居座ったり
そうやって生きている
そういう街のコーヒーショップで
わたしは
よくコーヒーを飲んだり
雑用をしたり時間をつぶすために
午後の数時間をすごした

『彼』は
店の前の通りの角、歩道のすみに
彼の全財産である襤褸包みといっしょに
居住していた
つまりそこが
彼の家だったのだ
時にはニューヨークタイムス
時にはヘミングウェイ
どこで拾ってきたのか
さまざまな本を読んでいた
わたしと彼は
会えば目と目で挨拶し
仲間だけに通じる暗号を
目と目で交わした
そう
彼と私は「同類」だったのだ

彼が死んだ日
ニューヨーク市の車がやってきて
彼を襤褸包みといっしょに運んでいった
きれいになった日暮れの歩道に
貧しい人もそうでない人も
みんな
ロウソクを灯した
なんの価値もないホームレスの男のための
ロウソクの炎が
夜風にゆれるのを
最後の一本が消えてしまうまで
見つめていた

(All rights reserved 、Copyright © 2004Rio Yamada
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1 件のコメント:

  1. このとき、「.彼」が手にしていたのはヘミングウェイの"The sun also rises"でした。「陽もまた昇る」です。. やまだ

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