「言葉が生まれるとき」 山田りお
しずかに。
今、この人の中で、なにかが動き始めている
この人の内側で、形を得ようとして、かすかに蠢くもの
そして、この人の唇から、言葉が生まれようとする
誰かの言ったことを繰り返す、物まねではない
みんなが何度も言った、手垢のついた言葉は、汚れている
それを得意そうに言う、オウムのような人の声に、その表情に、
命の輝きなんか、ありはしない。
この人は、みんなから尊敬されるような人ではない
たくさんの本を読み、叡智を蓄えたわけでもない
まわりを見回したり、批評したり、流行を追いかける余裕もなく
長い道のりを、ひとり懸命に歩いてきた、そういう人だ
でも、今このとき、この人の内側に、
ほんとうにあったものが少しずつ形をとり、
やがて、それが言葉になり、生まれ出ようしている時
人は、あんなに美しい表情になるんだ
聞くがいい。いま生まれ出る、この人だけの言葉を。
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■2011/04/12 (火) 命どぅ宝 |
命どぅ宝。ぬちどぅたから。
お金でもない。地位でもない。
■2011/04/04 (月) アチェベ |
「私たちが経験によって学んだ唯一のことは、『私たちは経験から何一つ学ばない』ということだ。」
チヌア・アチェベ(1930年生まれ)は、ナイジェリアの詩人、小説家。
■2011/04/02 (土) 一部抜粋ですが・・ |
谷川の岸に小さな学校がありました。
教室はたった一つでしたが生徒は三年生がないだけで、あとは一年から六年までみんなありました。
運動場もテニスコートのくらいでしたが、すぐうしろは栗の木のあるきれいな草の山でしたし、運動場のすみにはごぼごぼつめたい水を噴く岩穴もあったのです。
さわやかな九月一日の朝でした。青ぞらで風がどうと鳴り、日光は運動場いっぱいでした。
■2011/04/01 (金) 可楽 |
*海棠や悩みなき日のつづきけり
夕月や青田をわたる風の色
片耳はコオロギに貸す枕かな
枯蓮に師走の水の動かざる
さりながら死にたくもなし年の暮
七代目三笑亭可楽
海棠(かいどう)
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