2023年7月27日木曜日

「ときのおわり 」に

 詩集「ときのおわり」に、嬉しい感想を頂きましたので、掲載します。どうもありがとうございます。

)無国籍のような、無所属(性を超えて、人間であって昆虫であって植物であって)、そして時の中に揺蕩う詩の数々。() ひたすらその「今」を言葉にされている。それがとても静かに沁みる水のようだと思いました。」               E.H. (校閲者)

              
© rio yamada




2023年7月22日土曜日

詩とファンタジー

 「詩とファンタジー46号」(かまくら春秋社)の巻末記事「Poemの周辺」に、私の詩集「ときのおわり」 を取り上げて頂きました。 山田リオ

「(略)静かな眼差しで小さな事象について深く掘り下げ、そこにかくされている意味をつきつめる。」




2023年7月20日木曜日

潮流詩派

 「潮流詩派 274号」(潮流出版社)の巻末書評「ブックスⅡ」で、詩人の夏目ゆきさんに、私の詩集「ときのおわり」 を取り上げて頂きました。 山田リオ

「(略)どの詩も自由で、それでいて丁寧で、確然とした明るさがある。言葉にならない答えを見つけようとする作者の、孤独な、ゆずれない思い、安らぎや喜びが、しっかりと読者に伝わってくる。」夏目ゆき

   




2023年7月15日土曜日

みどり色の乗客 2017

                            山田リオ

早朝 地下鉄に乗った

席に着く 下を見ると 床に みどり色のコガネムシがいる

虫は少し動いて 止まる 方向転換して また 止まる

どんどん人が乗って来る 踏まれそうだ

急いで コガネムシを拾って ティッシュで包んだ

虫は じっとしているようだ

目的の駅に着いて 電車を降りて 外に出る

近くの公園まで歩いて テイッシュの包みを開く

コガネムシは元気だ ツワブキの葉の上に 虫を置く

何度か方向転換してから コガネムシは 動かなくなった

コガネムシが 安心したようなので ぼくは 公園を後にした

                     Copyright ©2017RioYamada


© rio yamada

2023年7月12日水曜日

宴(うたげ)のあと

 ■2003/09/25 (木) 宴のあと 

          
白いベルギーレースのテーブルクロスの上には
さまざまなものがこぼれた 染み
半分残った 赤ワインの瓶
食べ残しの 生ハムとイチジク
ソースのこびりついた皿
薔薇の匂いと おやすみを言って帰って行った
友人たちの匂い そして
あの 古い 静かな サンバの唄の余韻が まだ漂っていて
ああ 私の手のひらには
さっき掴んだ あの友人の厚い肩の感触が
まだしっかりと 残っている

飲み 食い 笑い 
うろ覚えの オペラ「道化師」のアリアを歌い
タンゴを ベケットを 三島を
心の中の 雑多なあれこれ ぶつけあい
喜び 悲しみ 怒り ぶちまけ 
冗談を飛ばし 皮肉を言い
共に笑い 涙を流す
わたしの 生涯の友人よ
あなたは主張した 明日のメインレースは
レクタスという馬が 先行逃げ切りで 勝つと
彼は その大穴に賭けるのだ と宣言した
わたしは反論した いやいや それは違う と
クロスカットが直線で 最後方から差し切るだろう
それには同意できない と彼は言った
ゼン レッツ アグリー トゥ ディスアグリー
では 同意しない ということで 意見は一致だ
レースの結果は 明日になればわかることだ 
そう言って わたしたちは乾杯した  
あの頃 毎日が 人生の祭りだった

あの日の宴のあとは もう どこにもない
あの 生涯の友人も もう どこにもいない 
さあ もういちど
あの 古い静かなサンバの唄を聴こう
瓶の底に残った 赤ワインの数滴を注いで 乾杯しよう
死が私たちを分かつとき そして その後も
けっして消えることのない友情に
乾杯しよう    Copyright ©2003RioYamada 

(Pに捧げる)
© rio yamada



2023年7月5日水曜日

扉 2009

© rio yamada

                                               

9/19/2009
                              山田リオ

その扉は そこらじゅうにあって
でもふだんは だれにも見えない
ごくたまに 扉は開く
たぶん とても特別な日に
すべてがうまく合ったとき 開く
だれにでも 開くわけじゃない
あなただけのために
ある日 なにかわからない理由で
その扉は 開く
そして そのとき
あなたは 扉を通り抜ける    
Copyright ©2009RioYamada

2023年6月20日火曜日

ユタの食事

 ■2007/08/07 (火) ユタの食事 


「ユタの食事」
                     山田リオ

ポプラの木の下を 川が流れている

水がたっぷり盛り上がり ところどころ渦を巻いて

川岸の草むらに 溢れ出そうになりながら

流れている 幅五メートルほどの川の

とろりとした 暗色の 冷たい水の深みに

カワマスは きっと いる

わたしは ポプラの木陰にかくれて

カワマスに 見られないように注意しながら

ハリに ミミズをつけ

赤い トウガラシのかたちの 浮きもつけて

そっと 水の中に送り込む

しばらく待っていると あっという間に

糸も浮きも釣竿も みんないっぺんに

川の深いところまで 引き込まれる

やがて 銀色のなかに 虹を秘めたマスが

あきらめたように 青草の上に横たわって

わたしはナイフで まだ生きている魚の腹を裂き

内臓を捨て そのかわり 香草とレモンをつめこみ

持ってきた岩塩を ふりかけ そして

ポプラの枯れ枝で 焚き火をつくる

フライパンに入れたバターが 熱くなるまでの間

さっき 川の流れで冷やしておいた

あの ワインを呑もうと思う

焦げはじめた バターの香り

レモンと 香草の匂い

マスの 皮と肉が焼ける匂い

川の匂い 青草の匂い ポプラの匂い

焚き火の匂い ポプラを吹く 高原の 風の匂い

何もかも すべてをひっくるめた

これが 今日の わたしの食事だ    Copyright ©2007RioYamada


rio yamada photo


演奏: ミシェル・カミロ Micel Camilo


 最近、ずっと、昼夜を問わず、カミロの「カリブ」Caribe が、

耳の奥で聞こえている。

耳の奥には手が届かないので、止めたくても、止めることができない。

きっと、夏が終わるまで、ずっと、こいつが聞こえているんだろうと思う。 

                            やまだ

2023年6月17日土曜日

赤い野球帽

            03/21/2006                                                                          山田リオ

一週間 昼も夜も 激しい雨が降り続いてから 

クリスマスの朝になって 雨が止んだ

雨の中でも ヤマバトは庭に来て 餌を待っている

朝 ガラス窓を叩くのも ヤマバトだ 餌の催促だ


雨の一週間 ハチドリは 一度も姿を見せなかった

赤いルビー色のも 緑の玉虫色のも 現れない

雨音で あの「ブーン」が聞こえなかったわけではなくて

給餌器の砂糖水が 少しも減らないのだ 

毎朝 気をつけているのに 呑んだ形跡がない

小指ほどのハチドリでも 運動量が多い

カロリーが必要で 絶えず蜜を飲まないと 

生きていられない そう思う


雨が止んで 晴れた朝 ドアを開けた 

ジャカランダの木の方から あのハチドリが 

ブーンという羽音を立てて 勢いよく飛んで来た 

雨の間 どうやって生き延びたのか わからない

もしかして ハチドリは こんな長雨の時 

短い冬眠をするのかもしれない と思う

仮死状態になって 命を繋いでいるのか 


今朝もまた ルビー色の きらきら光る あのハチドリが 

ぼくの目の前 30cmの位置で 空中停止している 

ブーン 翼が すごいスピードで羽ばたいていて 見えない

じっとこっちを見ているのは ルビーくん ほんとうは

ぼくがかぶっている 赤い野球帽が 気に入っているのだ  Copyright ©2006RioYamada


2023年6月13日火曜日

でも 貧しい私には 夢しかないのです

私は あなたの足元に 私の夢を広げました

やさしく歩いてください 

あなたは 私の夢の上を歩くのですから

              W.B.イエーツ「葦を吹く風」より 山田リオ訳




2023年6月9日金曜日

大事なことは詩を理解することではなくて、詩を書くことであり、

他人の詩を理解することではなくて、自分の詩を書くことである。

僕らは断じて批評家になってはならぬ。

                石原吉郎 (1915~1977)

© rio yamada


2023年5月29日月曜日

跳躍  2023


あるいていくと とおくのほう

みちのまんなかで はねているひとがいる

ひとりで ぴょんぴょん 

うれしそうに とびはねている

あんなふうに よろこびをあらせるひと

おもいだすと えがおになる 

もっといきていたい そうおもう

     山田リオ Copyright ©2023RioYamada



© rio yamada




2023年5月20日土曜日

自戒

                                                                                              山田リオ               

準備ができたら と思っていれば 


永久に 始められないよ


部屋の中で スマホやPCと一緒に 


うずくまっていたら 何も始まらないうちに 終わる


今 すぐ 外に出て 歩いて 


生きて 動いている 人や 昆虫や 植物や 


鳥や 動物に出会わなければ 


何も生まれない 変わらない 


準備なんか いらない 


今 すぐ 前に進むこと  


今 すぐ ここで 始めないと 

このまま 終ってしまう         


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2023年5月18日木曜日

ときのおわり

 山田リオの詩が 本になりました。

青磁社刊 詩集「ときのおわり 」です。

アマゾン、紀伊國屋書店ウエブストア、

楽天ブックスなどでお求め頂けます。

どうぞよろしく。

© rio yamada


2023年4月10日月曜日

 今日は いいことがあったので

昔 あの街で手に入れた 鳥の絵を

この絵を ときどき 見ています

誰が 描いたのかは 当てたら エライ。

              ヤマダ

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2023年3月28日火曜日

甘美

 「この世界は美しいものだし、人間の命は甘美なものだ」


           ゴータマ・ブッダ (紀元前5世紀)
             訳:中村元(1912~1999)
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2023年3月25日土曜日

花の雨

今朝も雨なので もう 嬉しくって 

我慢できずに 傘をさして 歩きに行った

雨の中を 歩きながら いろいろなことを 思っていた

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2023年3月24日金曜日

俺を 車の中では 死なせないでくれ

俺は 広い野原に 横たわって

蛇たちに 俺の皮膚を吸わせ

ミミズたちに 友達になってもらい

鳥たちに 俺の眼を 食ってもらう

そうして 横たわる 俺の上を

雲が 過ぎて行くんだ

               ジム・モリソン (1943~1971)

                        訳:山田リオ

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2023年3月23日木曜日

 川辺には川風吹けり同時には二つのことを悲しめざるに

                         永田淳

© rio yamada


2023年3月19日日曜日

花冷え 再録

 

花冷えの箸まなかつをむしりけり

花冷えのマスクをかけて眉の濃き

花冷えの閉めてしんかんたる障子

花冷えの打つだけの手はうちにけり

花冷えの雨にならんとしてなれず

          久保田万太郎(1890-1963)

2023年3月11日土曜日

 ルイス・キャロルの「アリス」と「鏡の国」、

本当に長い付き合いで、お世話になりっぱなし。

ジョン・テニエルのイラストレーションも。

そして、散りばめられている詩、ナーサリーライムの世界が、もう・・・・・・。

「ハンプティーダンプティー」、「セイウチ大工の二人連れ」、

そしてもちろん、「ジャバーウオッキー」、ね。

このライムは「鏡文字」、裏返しの文字で書かれたもので始まるんだけど、

言うまでもなく、これは「鏡の国」につながる。

でも、こういう説明とかは、いらないと思う。

ライムの謎解きも、意味不明の造語ばっかりの詩の謎解きも、面白いけど、

解説書とかは読まない。僕はいつも、読みながら、自分で考えて楽しむ。

アガサ・クリスティーの小説と同じで、自分で考えるのが楽しい。

題名の、"Through the looking-glass"は、誰かに、鏡を通り抜けてもらうんじゃなくて、

自分自身で、鏡の中に入って行く、それがいいんだと思う。



2023年2月19日日曜日

ささやき

ミュート、または、弱音器といいます。

ヴァイオリンの駒の部分に取り付けると、

音量を抑えるだけではなく、音色を劇的に変えます。

作曲家がミュートを指定して曲を書くこともあります。

しっとりした音、ささやくような音、寂しげな音、いやいや、

音色を言葉で表すのは、不可能。だから音楽や、絵がある。

黒いのは黒檀、白い方は、たぶん、牛骨で作った物だと思う。

                        やまだ

© rio yamada


              

2023年2月11日土曜日

やさしさ


ピシンギーニャ(ブラジル, 1897~1973)の作品です。 

カリニョーソは、ブラジルの第二国歌とも言われます。 

********************

CARINHOSO (やさしさ)  (訳:山田 リオ2001)    

なぜだろう。
私の心臓は、幸せに鼓動し
私の眼はいつも微笑んでいるのに
歩いて行くこの道も、あなたも   
なぜか、同じように、私から逃げて行く。

ああ、あなたが私の思いをわかってくれたら
どれほど、あなたを求めているか
わたしのほんとうの心をわかってくれたら

来て。わたしのぬくもりを感じに
私の唇が、あなたを待っているから
来て。胸の痛みを癒しに
私の心の大きな空白を、
あなたが満たしてくれる
その時。それが。
私の幸せ。ほんとうの幸せ。
私の、心臓・・・・・    
    
(All rights reserved 、2001 Rio Yamada)


2023年2月2日木曜日

不在

 不在、それは存在の最高形態。

          ジェームス・ジョイス (1882~1941)   (山田リオ訳)

© rio yamada


2023年1月25日水曜日

 淋しさの底ぬけて降るみぞれかな

              内藤丈草 (1662~1704)




2023年1月23日月曜日

なき人

 なき人をしのぶることもいつまでぞ今日のあはれは明日のわが身を

                          加賀少納言

© rio yamada