■2003/09/25 (木) 宴のあと
白いベルギーレースのテーブルクロスの上には
さまざまなものがこぼれた 染み
半分残った 赤ワインの瓶
食べ残しの 生ハムとイチジク
ソースのこびりついた皿
薔薇の匂いと おやすみを言って帰って行った
友人たちの匂い そして
あの 古い 静かな サンバの唄の余韻が まだ漂っていて
ああ 私の手のひらには
さっき掴んだ あの友人の厚い肩の感触が
まだしっかりと 残っている
飲み 食い 笑い
うろ覚えの オペラ「道化師」のアリアを歌い
タンゴを ベケットを 三島を
心の中の 雑多なあれこれ ぶつけあい
喜び 悲しみ 怒り ぶちまけ
タンゴを ベケットを 三島を
心の中の 雑多なあれこれ ぶつけあい
喜び 悲しみ 怒り ぶちまけ
冗談を飛ばし 皮肉を言い
共に笑い 涙を流す
わたしの 生涯の友人よ
わたしの 生涯の友人よ
あなたは主張した 明日のメインレースは
レクタスという馬が 先行逃げ切りで 勝つと
彼は その大穴に賭けるのだ と宣言した
わたしは反論した いやいや それは違う と
クロスカットが直線で 最後方から差し切るだろう
それには同意できない と彼は言った
ゼン レッツ アグリー トゥ ディスアグリー
では 同意しない ということで 意見は一致だ
レースの結果は 明日になればわかることだ
そう言って わたしたちは乾杯した
あの頃 毎日が 人生の祭りだった
あの日の宴のあとは もう どこにもない
あの 生涯の友人も もう どこにもいない
さあ もういちど
あの 古い静かなサンバの唄を聴こう
瓶の底に残った 赤ワインの数滴を注いで 乾杯しよう
死が私たちを分かつとき そして その後も
けっして消えることのない友情に
乾杯しよう Copyright ©2003RioYamada
瓶の底に残った 赤ワインの数滴を注いで 乾杯しよう
死が私たちを分かつとき そして その後も
けっして消えることのない友情に
乾杯しよう Copyright ©2003RioYamada
(Pに捧げる)
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