2011年8月20日土曜日

万太郎、夏の句



ふりしきる雨となりにけり蛍籠(ほたるかご)

亡き人に肩叩かれし衣替え

神田川祭りのなかを流れけり

抜け裏をぬけうらをゆく日傘かな

運不運ひとの上にぞ雲の峰

わが老いの業はねむれず明けやすき

月も露も涼しき永久(とわ)のわかれかな

ひとりむしいかなる明日のくるならむ

短夜の明けゆく水の匂いかな    短夜(みぢかよ)


       久保田万太郎

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