2024年3月21日木曜日

悲しいギター 2005

 ■2005/08/13 (土) SAD GUITAR


中国系アメリカ人の女性詩人、マリリン・チンの「サド・ギター」です。

「悲しいギター」        
                     マリリン・チン 訳:山田リオ

盲目の移民よ
あなたはこれが理解できるか
触る、木、
これは木
そして火ではない、これは
土で、木ではない
これは自然界の水だ

お茶がはいって、ご飯が炊ける
あなたが去って、十日間
わたしはよろめき、つまずいて
連想ゲームをしてみよう
フラワーに、韻を踏むのは
バワー、シャワー、それとも、パワー?

見知らぬ人よ、中国女を
愛したことがありますか?
彼女の心は、菊の花
そこには、深い峡谷がある

おお、曲がった杖、憤怒!
私はここに、あなたの中に、あなたなしで
ねっとりした闇をまさぐり
魂と怒りを、引きずり出す

わたしはロープを持たない女
逃げてしまった、馬を追う
わたしの馬車の、馬はいななき
蹄の音は略奪する

あなたが聞こえる、でも見えない
あなたに触れる、でも、遠い
淋しさについて、学んだことは
弦を爪弾く、三本の指
全てがわかる、あの心臓の---
悲しいギターの、空洞の
そのまん中の、芯の暗闇。copyright2005© rio yamada

2024年3月6日水曜日

感謝

 山田リオの詩集、「ときのおわり 」が、

第74回 H氏賞の候補作品に選ばれました。

みなさま、どうもありがとうございました。 

これからも、どうか宜しくご指導下さい。   やまだ

© rio yamada


2024年2月23日金曜日

万太郎


冬籠つひに一人は一人かな

佇めば身にしむ水のひかりかな
 
雲の峰あたり人かげなかりけり

わが胸にすむ人ひとり冬の梅

何か言へばすぐに涙の日短かき

汝も我も凡夫の息の白さかな

こしかたのゆめまぼろしの花野かな

             久保田万太郎 (1889~1963)

© rio yamada


2024年2月9日金曜日

本棚

 詩人の瀬崎祐さんが、ブログ「瀬崎祐の本棚」に、

詩集「ときのおわり 」の感想を掲載してくださいました。

このページの右側、「お気に入り」欄にあります。

ありがとうございました。

© rio yamada





2024年1月29日月曜日

正解

「人間の愚かさは、あらゆることに正解を求める姿勢に起因する。

小説の知恵は、あらゆることに疑問を持つ姿勢に起因する。」

               ミラン・クンデラ (1929~2023)  訳:山田リオ

© rio yamada


2024年1月23日火曜日

遠ざかるスケートボード

 

■2010/07/02 (金) 

            山田リオ

その人はこっちを向いたままスケートボードに正座している
いつものあの表情を保ったままのその人を乗せて
スケートボードは徐々に加速しながら遠ざかる
こっちを向いたままのその人の表情は変わらない
正座したままだんだん遠く小さくなっていって
とうとう見えなくなったむこうの
遠い空には白い雲
永い人生の中のほんの一瞬すれ違い
ほんのわずかな言葉を交わしただけで
分かり合えたような気になっただけで
遠ざかり小さくなりもう見えなくなったあの人とは
ほんの少しだけ言葉を交わすことはあったのだが
お互いの目を見ることもなくわかれて行った無数の人たち
見上げる空には白い雲   
Copyright©2010RioYamada

© rio yamada


2023年12月31日日曜日

この星

クモ ヒト メダカ コガネムシ

コノ ウツクシイ ホシニスム

ミンナ ダレモガ オダヤカニ

                 山田リオ

© rio yamada


2023年12月10日日曜日

うつくしいもの

           八木重吉(1898~1927)

わたしみづからのなかでもいい

わたしの外の せかいでも いい

どこにか 「ほんとうに 美しいもの」は ないのか

それが 敵であつても かまわない

及びがたくても よい

ただ 在るといふことが 分りさへすれば、

ああ ひさしくも これを追ふにつかれたこころ


    

© rio yamada

2023年12月7日木曜日

実生 10/04/2011(再録)


2011 © rio yamada
                       山田リオ
地に落ちた種子は発芽し
幸運にも実生となって育った
雨の降る日は一日喜び
雪の降る日々を耐え
実生はきれいな若木になった
今日、森の奥では
光が無言のお祝いをする

(註:実生=みしょう)Copyright © 2011Rio Yamada



2023年11月30日木曜日

現代詩手帖

  「現代詩手帖 12月号」(思潮社)の「今年度の収穫」で、詩人の須永紀子さんに、私の詩集「ときのおわり」 を取り上げて頂きました。 

「病を得て悪化したころから書きはじめたという詩人の、ポエジーあふれる第一詩集。何度読んでも清々しさに魅了される。」須永紀子

また、同欄で、詩人の荒川洋治さん、岡本勝人さんも、「ときのおわり 」を取り上げてくださいました。ありがとうございました。  山田リオ



2023年11月25日土曜日

大きい小さい

大きい山 小さい山 大きい川 小さい川

大きい人 小さい人 大きい手 小さい手 

大きい窓 小さい窓 大きい空 小さい空

大きい雲 小さい雲 大きい音 小さい音

                山田リオCopyright©2023RioYamada

© rio yamada 


2023年11月17日金曜日

悲しみ


             

 1963年、  アロウド・ロボとニウチーニョ(ブラジル)の作品。「悲しみ」は、歌詞の最後の部分、「新しい歌が欲しい」でも知られている。
この録音の始めの方、ヴィニシウスが「アロウド」と呼びかけるの、聞こえますか?
歌っているのは、ヴィニシウス・ヂ・モライス(ブラジルの詩人、1913~1980)  と、トキーニョ(1946~)。

2023年11月12日日曜日

蛇の足 蛙の尻尾

                                                山田リオ

遺言は もう 書いてしまった

さて 次は 何を書こうか

なにか 軽くて ユーモアのある ドルチェ? 甘いもの?

ああ でも そういうものは 

軽い と言ったって なんだか 気が重い

何を書いたとしても それは 蛇の足 蛙の尻尾 

みたいな気がするのは ぼくの頭が おかしいのか

それとも すべては 気候変動のせいなのか

まだ 秋が来ないうちに もう 冬が来てしまったのは 誰のせいか

そうだ 遺言の 続編を 書けばいいんだ そうしよう

そうすれば 蛇さんも 蛙さんも きっと 喜ぶんじゃないかな

                      Copyright©2023RioYamada

© rio yamada 



2023年10月25日水曜日

秋草光


 


秋が くると いふのか

なにものとも しれぬけれど

すこしづつ そして わづかにいろづいてゆく、

わたしのこころが

それよりも もつとひろいもののなかへくづれて ゆくのか



                                  八木重吉 (1898~1927)
© rio yamada


2023年10月8日日曜日

雨の匂い

雨の匂いのする 午後

明日はきっと 雨

           山田リオ

© rio yamada


2023年10月6日金曜日

  ■2005/10/28 (金)         山田リオ 

気がついたら いつのまにか わたしは

母よりも 年上になっていた

これから もし わたしが生きていれば

毎年 一歳ずつ 母より年上になっていくわけで

それは 不思議なことのようにも思える

親戚の一部から 無視されていた母は


口数が少なくて 他の人とは どこか違っていた

でも わたしにとって 彼女はいつも 

ただひとりの母だったし 今も それに変わりはない

むしろ 自分は 男でありながら

だんだん 母に似た人間になっていく気がする

わたしは 父をおぼえていないので

母とわたしは この世で唯一の親であり 子であり

歳を重ねることで 母に似ていくのは 当然のことかもしれない

母は 物の手触りを愛する人だった 何かに目をとめると

とことこ歩いて 道を横切り 手を触れずにいられなかった

それは 角の教会の 壁の石積みだったり

古びて朽ちかけた 板塀だったりするのだが

彼女は立ち止まり 目でいつくしんでから そっと手を触れた

母に「勉強しろ」 と言われたことは 一度もなかった

将来や就職について 訊かれたことも 一度もなかった

でも 彼女は ぼくが 何か 好きなことに夢中になっているのを

石や板塀を見るのと同じ あの まなざしで

曲がり角から覗き見るように 見ていた

お母さん わたしは だんだん あなたに似てきました

そして あなたが何を思い なにを感じて 生きていたのか

すこしだけ わかってきたような 気がするのです

いつか あなたと 再会できる日が来たら

あなたに そっくりな人間に生んでくれて ありがとう

そう 言いたいです         Copyright©2005RioYamada
rio yamada photo


2023年10月4日水曜日

姓名

 姓は苗字、名は名前、英語だと、Last name and first name.

ああ、そうだ。surname, given name という言い方もある。

surname が苗字で、given name が・・

でも、「下の名前」という言い方には、なんだろう、違和感がある。

ぼくの名前の「リオ」は、ポルトガル語、またはスペイン語で「河」という意味だ。

そして、河は、海に向かって流れて行く。そう。いつか、海に出会う。

だから何だって? だから、ね、そういうことなのさ。

ところで、一生の間には、一度くらい、

この写真のような日没に出会う幸運も、あるんだよね。 Rio

© rio yamada 



2023年10月3日火曜日

あの音楽

■2010/05/20 (木) 

音楽のことを書きます。
大切な音楽とは、どんなものか、
それは、きっと、一人一人にとって、違うものなんでしょうね。
いや、そうであることを願います。

わたしにとって大切な音楽は、ジャンルで呼べるようなものではありません。
世界に、たった一つの、「あれ」です。
それは、歌詞も無く、まあ、かなり地味なものです。

その音楽は、自分が病床にあって、もうダメだ、という時に、
枕元にすわっていてくれて、静かに話しかけてくれる、そういうものです。

もうどうしようもなくて、あきらめて、ビルの屋上から跳ぼうという、
その時、後ろから、やわらかく抱きとめてくれる、
それが、わたしにとっての、あの音楽です。

どんな音楽かって?
おしえない。
誰が作曲したか? おしえない。
わたしが、どんなに酔っ払っていたって、
おしえない。
とても大切なんだから。

        山田りお  Copyright©2010RioYamada
© rio yamada 


2023年9月30日土曜日

コスモス

 コスモスなんぼでも高うなる小さい家で

            尾崎放哉 (1885~1926)

© rio yamada 


2023年9月22日金曜日





海が少し見える小さい窓一つもつ 

           尾崎放哉 
  おざきほうさい、1885~1926  無季自由律俳句)

2023年9月17日日曜日

夜の花

 夜 灯りを消して 闇の中 目を閉じたら 今日が終わっている 

もしも 目が覚めて 窓の外が明るくなったいるのが見えたら

嬉しい贈り物が届く 「もう一日 生きなさい」 という贈り物だ

さっきまで明日だったものが ほら 今は今日になっていて 

あたらしい今日が始まった時 初めて気がつく ああ そうだ

今日は祭りの日だ 過ぎ去った今日も 今 始まったばかりの今日も

そして まだこない今日 どの今日も 祭りの日だ

                 山田リオ Copyright©2018RioYamada

夜の花 ©2018RioYamada


           

2023年9月12日火曜日

信頼できる

 左側 上から二番目のやつを

わたしは 気に入っている なぜなら

たぶん こいつが いちばん 信頼できそうだから ね

          山田リオ Copyright©2023RioYamada

© rio yamada 

2023年9月5日火曜日

船旅

 


      「中国行きの遅い船に乗って」 ソニー・ローリンス (1930~   )

2023年8月30日水曜日

終わるんだよ

セミの声が聞こえない夏 いつまでも終わらない夏

スイカを買おうと スーパーマーケットに行った

プラスチックの箱に入れた 細かく刻んだスイカの破片が

ほんの少し あるだけだった

それで 八百屋さんに行ったら 

三日月の形のスイカがあったので すぐ 買った

八百屋さんが 「もうすぐ スイカは 終わりなんですよ」 と言う

そうか 今年の夏は 終わらないんだと思っていたら

スイカさんの世界では 夏は もうすぐ 終わるんだな

それなら 気がつかなかったけど 季節は まだ あるんだ

「そうだよ 夏は もう 終わるんだよ」 スイカさんが そう言っています

                山田リオ Copyright©2023RioYamada

rio yamada photo

 

2023年8月23日水曜日

祝祭

 今日は 雲の祭り なので 「雲の日」に決めました

これは 個人的な祝日です

雲が どんどん動いて行く 新しい雲が生まれる

そんな日なので わたしは 一日 空ばかり見ている 

雲の祭り 雲の日 

        Copyright©2023RioYamada 山田リオ

© rio yamada 



2023年8月22日火曜日

避難

「音楽はわたしの避難場所だった。

わたしは、音符と音符のすき間に這い込んで、

寂しさに寄りかかることができた。」

          マヤ・アンジェルー  (1951~2014)  翻訳:山田リオ



2023年8月9日水曜日

自由

「人は、自分のことを考えていない時だけ、自由だ。」

                   豊崎由美 (1961~)

© rio yamada



2023年8月4日金曜日

ケルアックの道 2018

 

On the Road

「俺のうしろには、何もない。
すべては、俺の前にある。
道の上で、いつもそうだったように。」

「 そのとき、俺の人生は、巨きな、輝く白紙のページに見えた。やりたいことは、なんでもできるんだ。」 
(「オン・ザ・ロード」より)                           (訳:山田リオ)
ジャック・ケルアック 
(1922– 1969)


ジャック・ケルアックは47歳で亡くなったんだな。 
永井陽子は49歳で亡くなり、
笹井宏之は27歳の人生だった。
ジネット・ヌヴーは30歳、
フリオ・ソーサは38歳、
ジャクリーヌ・デュ・プレは、42歳、
そして、富岡鉄斎は89歳。

オン・ザ・ロードは、ちょっとだけ翻訳してみたけど、
やっぱり僕には無理。英語のままで読む方が、いい。
翻訳は諦めた。(山田 05/14/2018)

2023年8月1日火曜日

太陽 2000

 

©RioYamada
この絵を描いてから ずいぶん時間がたった

それは 与えられた時間 つまり 贈り物

その贈り物に 自分は ふさわしかったのか

それは いつか また 考えることにして

今は これを描いた頃の 自分が

何を思っていたのか 思い出そうとしている

      山田リオ Copyright©2023RioYamada