詩日記
自信のない詩人、山田リオが書いた詩、作文など、いろいろです。 Copyright © Rio Yamada. Watermark テンプレート. Powered by Blogger.
2017年7月17日月曜日
小島ゆかり
「ここからはひとりで行くわ」あの夏のわたしは誰に言つたのでせう
しばしばもわれに虚ろのときありぬうしろにかならず猫が来てゐる
転院しまた転院しわが父の居場所この世にもう無きごとし
今しがた落ちし椿を感じつつ落ちぬ椿のぢつと咲きをり
帰り来し夫の背後に紺青の夜あり水のにほひをもちて
夏みかんのなかに小さき祖母が居て涼しいからここへおいでと言へり
蟬はもう何かに気づき早く早く生ききつてそして死にきれと鳴く
街はもうポインセチアのころとなり生老病死みな火と思ふ
小島ゆかり(1956 -)
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