山田リオ Copyright ©2014RioYamada
正確には、駱駝(ラクダ)の骨で作られた匣(はこ)だと、
これを譲ってくださった方が、自信満々で、そう言いました。
その男性は、そのとき、たぶん素面(しらふ)だったと思います。
どういうわけが、古い小匣が好きで、
自然に、匣のほうが、ぼくに寄ってきます。
数多く集めているわけでもなく、
手に入れば、愛着がでて、
ためつすがめつ、こすったり、磨いたり、
また眺めたり。
大事な小物を入れたり、出したり、
目に付くところに置いたり、移動したり、
まあ、そんな感じであります。
アラビア半島ではないか、
と素面氏は言っていますが、
ぼくはひそかに、西域、それこそ、
シルクロードの産物ではないかと、
何の根拠もなく思っています。
駱駝の骨かも知れないし、牛骨かもしれない。
薄く切った骨を貼り付けて、そのうえに、毛彫りでアラベスク模様が描かれています。
今は、それなりに嬉しく、時間がたつにつれて、さらに嬉しさが増していくのが、
古い匣を手に入れて、持っていることの喜びではあります。
驢馬の次は自然の流れで駱駝になりました。さて、駱駝の次に来るのは何でしょうか。
こういう所有欲、玩物喪志、煩悩は、所有者の死によって終わるものでもなくて、
そういう惑乱はまた別の人間にバトンタッチされることもあり、
また可能性としてはこいつが燃えるゴミとして姿を消すことも当然あるわけですが
結局はまた大自然や宇宙に還っていくのは間違いのないことであります、はは、ははは。
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