2014年3月7日金曜日

アコーデオン弾き

 L'Accordéoniste                        
                                                   Michel Emer ミシェル・エメール(フランス) 1940 
                                                                            訳:山田リオ Copyright ©2014RioYamada

夜の女はきれいだ
あの、向こうの通りの角に立って
女にはひいきの客もいるから
少しはお金も貯まった
仕事が終われば、小さな夢を探しに
街はずれのクラブに行く
彼女の男はアーティストだ
やつは、おかしな小男
アコーデオン弾きだ

女は、アコーデオンを聴く
でも、踊りはしない、ダンスフロアを見もしない
愛のこもった眼差しで
乾いた、神経質そうな
アーティストの指の動きを目で追う
指は女の皮膚を貫く、下から、上から
女は唄いたいのだ、全身で
息を止めて、音楽に浸っていたいのだ

夜の女は悲しい
あの、向こうの通りの角に立って
アコーデオン弾きが、徴兵されて行ったから
もし男が戦争から戻ってきたら
二人でライブハウスをやろう
女が切符を売り、二人で経営する
そして毎晩、男がアコーデオンを弾く
女は、ごく低い声で唄いながら
彼女のアーティストを見つめるだろう

夜の女は一人ぽっちだ
あの、向こうの通りの角に立って
泣いている女を、男たちは好きじゃない
もしあの男が戻らなければ、女は壊れる
さようなら、すべての夢
あいつの一生もおしまいさ
でもそのとき、女の足は、別の場所に向かうだろう
誰か、ほかのアーティストがいる場所へ
誰かが一晩中、音楽を奏でている場所へ 

女はアコーデオンを聴く
アコーデオンが聞こえるから
女は目を閉じて聴く
乾いた、神経質そうな指が女の皮膚を
下から、上から、貫くから
女は泣きたいのだ、忘れるために
やがて、女は踊り始める、回り始める
あの、アコーデオンの音楽にあわせて

 
アコーディオンのフランス語の発音は「アコーデオン、」です
「アコーデオン弾き」ミシェル・エメールが1940年に、第二次世界大戦に出征する直前に、
Édith Piaf エディット・ピアフに贈ったシャンソンの詩です。訳:山田リオ Copyright ©2014RioYamada







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