●「夜桜」というものが昔はあったそうな。
夜の闇の中に咲いている、やわらかくほの白い桜。
日本人が失ってしまった、最も大切なものの一つ、「闇」(やみ)。
ライトアップなどというものが存在しなかった昔の春夜は、
どんなにか、情緒あふれるものだったことだろうか。 山田
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やすらへば手の冷たさや花の中 岡本浜浜
花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ
娘(こ)がいねば夕餉もひとり花の雨 杉田 久
娘(こ)がいねば夕餉もひとり花の雨 杉田 久
行き暮れて木の下蔭を宿とせば花や今宵の主ならまし 薩摩守 忠度
春風の花をちらすと見る夢は覚めても胸のさわぐなりけり
世の中を思へばなべて散る花のわが身をさてもいずちかもせむ
花みればそのいはれとはなけれども心のうちぞ苦しかりける
願はくは花の下(もと)にて春死なむそのきさらぎの望月のころ
西行法師
わが胸をのぞかば胸のくらがりに桜森見ゆ吹雪きゐる見ゆ
咲き重なる花の奥なる花のいろ更にましろく冷えびえとせり
しんしんと頭の底にも陽は差してそこも桜の無惨の白さ
鬼も花もまさ眼に見えねばめつむりて眼の奥の闇しかと見つむる 河野 裕子
散るまへの桜の大樹いだかんと河原へゆけば吾を抱く風 笹井宏之
天空をながるるさくら春十五夜世界はいまなんと大きな時計
警報機鳴るやもしれぬうつし世のさくらのやみのにほふばかりを 永井陽子
警報機鳴るやもしれぬうつし世のさくらのやみのにほふばかりを 永井陽子
世の中を思へばなべて散る花のわが身をさてもいずちかもせむ
花みればそのいはれとはなけれども心のうちぞ苦しかりける
願はくは花の下(もと)にて春死なむそのきさらぎの望月のころ
西行法師
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