2021年2月8日月曜日

 針の穴一つ通してきさらぎの梅咲く空に抜けてゆかまし

               馬場あき子

rio yamada


2021年1月31日日曜日

人生

 人生については、あまり真面目に考えないことだ。

どうせ、生きては出られないんだから。

           エルバート・ハバード (1856~1915)  山田リオ訳



2021年1月28日木曜日

可楽

■2011/04/01 (金) 

*海棠や悩みなき日のつづきけり

夕月や青田をわたる風の色

片耳はコオロギに貸す枕かな

枯蓮に師走の水の動かざる

さりながら死にたくもなし年の暮
                   七代目三笑亭可楽(1886~1944)

                      海棠(かいどう)



2021年1月27日水曜日

仲間 2006

■2006/07/02 (日) 蜂
(All rights reserved 、2006Rio Yamada

                      山田リオ


静かだったあの町の 家の小さな庭に 

蜂が来るようになった

スズメバチが 最初の常連で

アシナガバチも 来るようになった

毎朝 水を飲みに来るのだ

なにしろ ここは砂漠の町なので

すべてが乾燥している

わたしが 朝 野菜に水遣りをするのを知っていて

その時を 待っているのだ

庭に出ていくと すぐに翔んで来て

頭のまわりを ぐるぐる翔び回る

スズメバチも 知り合いだから 安心だ


一通り ホースで水をまいて

レンガや 塀にも 打ち水をする

蜂は バジルの苗がお気に入りで

水玉が光るバジルの葉にとまって

ゆっくり 水を飲んでから

垂直に上昇して どこかに翔んでゆく

帽子をかぶって リュックを持って

仕事に出かける時でも おかまいなしに

耳のそばで あの蜂の声で

「水をくださいいいいいい」と言うから

急いで出かける時だって

やっぱり 水をあげないわけにはいかない


子供のころから 昆虫や鳥とは 深いつきあいだった

複雑でやっかいな 人間とのつきあいより

それは はるかに心安らぐものだから

ある意味 彼らは ほんとうの友人とも言える

でも 今になって あの頃を振り返って 思う  

あの 砂漠の町の 人間ではないご近所さんたちは

残された 命の時間を 共に生きる彼らは 

わたしにとって かけがえのない 仲間だ 

Copyright ©2006RioYamada

2021年1月22日金曜日

 なき人のかたみにたてし寺に入りて跡ありけりと見て帰りぬる 

                       西行法師(1118~1190)

2021年1月21日木曜日

 白砂をひかりのような船がゆきなんてしずかな私だろうか

             笹井 宏之(1982~2009)


2021年1月16日土曜日

背後

 第155段(略)死期は序でを待たず。死は前よりしも来らず、予て、後ろに迫れり。人皆、死有ることを知りて、待つ事、しかも急ならざるに、覚えずして来たる。沖の干潟、遥かなれども、磯より潮の滿つるが如し。

(死は、順番では来ない。死は前からは来ない。気がつく前に、背後から忍び寄る。みんなは死について知ってはいても、すぐに来るとは思わないで、のんびりしている。しかし、死は、知らないうちに、もう、すぐそこまで来ている。干潟がずっと遠くまで見通せているせいで、足元に潮が満ちて来ているのに気がつかないのと同じだ。)

               徒然草より、吉田兼好(鎌倉時代末期〜)


2021年1月14日木曜日

わが家の犬はいづこにゆきぬらむ今宵も思ひいでて眠れる

                  島木赤彦



2021年1月8日金曜日

 

2016年6月29日水曜日




              山田リオ



最近、思うんだけど、
人一人の生命と、蟲一匹の生命は、同じ重さなのか。

どれほどの名声を残そうと、どんなに大きなビルを建てようと、
全巻96冊の作品全集を残して逝こうが、
死んでいく時には、わたしたちは何一つ持っては行けない。
燃えるゴミか、燃えないゴミか、どっちかになるしかない。 
蜘蛛がどんなに立派な左右対称の巣を作っても、
夜のあいだに雨が降れば、朝にはその巣は消えている、
それと同じことだ。

猫のまわりに、猫の中に、
すごく巨きな平安を、平和を感じることがある。
木の枝で鳴いている小鳥を見ていると、小鳥のしあわせを思う。
こっちの勝手な思い込みだろうか?
壁にとまっている、いつもの蜘蛛をどんなに見ていても、
そこに何の苦しみも、葛藤も感じることができない。 
それは、こっちが鈍感なせいか?

それに比べて、わたしたちの心のなかに吹き荒れる嵐は、なにごとか。
あの蟲、鳥獣蟲魚の心の中にも、私たちと同じような暴風雨があるのか。
訊いてみないとわからないことだが、
窓の外の小鳥の答えは、おそらく明快だろうと思う。

それもこれも、すべては、こっちの思い込みか?Copyright©2016RioYamada

2020年12月31日木曜日

あはは

 毎日、笑っていたい。それだけ。

それ以上のことは、願わない。望まない。



2020年12月25日金曜日

辞世

 

2018年9月9日日曜日


あの世からスマホで打つわ極楽なう
                say少納言

あなたらの気持ちがこんなにわかるのに言ひ残すことの何ぞ少なき
                           河野裕子
 

後の世も又後の世もめぐり会へ染む紫の雲の上まで
                                         源義経

この世をばどりゃおいとまに線香の煙とともに灰左様なら
                         十返舎一九
人魂(ひとだま)で行く気散じや夏野原 
                  葛飾北斎

葬式無用 戒名不用
         白洲次郎
     

余白

 



コーヒーの香りをデスクに置いたまま朝までひとりの余白に眠る
                             
                   大西久美子

           (「イーハト-ブの数式」より)

2020年12月24日木曜日

他人本位

 2014年11月16日日曜日

今までは全く他人本位で、そこいらをでたらめに漂よっていたから、
駄目であったという事にようやく気がついたのです。
私のここに他人本位というのは、自分の酒を人に飲んでもらって、
後からその品評を聴いて、それを理が非でもそうだとしてしまう
いわゆる人真似を指すのです           
           夏目漱石(1867 - 1916)

2020年12月21日月曜日

とうとう 2014

2014年7月22日火曜日    山田リオ


石には 石だけが 待っている 時があった
アザミは アザミで ゆれていた
ミンミンゼミは ミンミンゼミだけの 唄を

雲は 別れた 風とも 空とも 別れた
 

みんな ひとりで 時のなかを
ひとり ゆれながら 行った
ひとりは ひとり 唄った
ひとりは 別れた ひとりで? ほんとに?
 

みじかい ことば ちいさい ことば
とうとう さいごまで

言われなかった ことば は
とても 広かった 大きかった
 
          Copyright ©2014RioYamada

2020年12月9日水曜日

猫の

はるのよい かってしったる へいのうえ

たづくりは はにくっついて たべにくい

はととった こともあったな いまはむり

         (ねこはい)南伸坊(1947~)

きにいったひとは「ねこはい」のほん、かってね。ぶんこです。680えん。




2020年12月8日火曜日

また茂吉

雪山にむかひて歌を読まむとすしょぼしょぼとせる眼をもちて

                  眼(まなこ)

歌ひとつ作りて涙ぐむことあり世の現身よわが面をな見そ

                  現身(うつせみ)面(おもて)

全けき鳥海山はかくのごとからくれなゐの夕ばえのなか

            斎藤茂吉(1882~1953)

2020年11月28日土曜日

茂吉

わが生はかくのごとけむおのがため納豆買ひて帰るゆふぐれ

辛うじて机のまへにすわれども有りとしも無しこのうつしみは

             斎藤茂吉(1882~1953)


2020年11月26日木曜日

合掌

 人生は笑って生きるだけでいいんです。


         関 頑亭 (1919~2020)

2020年11月22日日曜日

後悔

仕事をしている間は、夢中で、非常に楽しい。

とくに、豊かな内容の原稿が来て、

それを、楽しみながらあれこれと考え、

書き、読み返し、書き直し、訂正し、

あれこれ工夫して書く時間は、本当に楽しい。

あっという間に時間が、日々がすぎて行く。

出来上がってしまって、原稿を送った後は、

大切なものを失ったようで、淋しい。

そんなことなら、もっと時間をかけて、

ゆっくりやるんだった、と後悔する。

でも、また仕事が来ると、

もう、楽しくて、どんどんやってしまう。

そして、仕上がってから、また、後悔する。

むづかしいものだ。

ところが、ときには、というか、しばしば、

送ってしまった後で、失敗に気がつく。

まったく、自分は、不注意で、愚かなやつだ。

しかし、後悔しても、もう、遅い。

でも、後悔。   やまだ

2020年11月10日火曜日

しばしばもわれに虚ろのときありぬうしろにかならず猫が来てゐる

                                                                                     小島ゆかり(1956 -)

2020年11月9日月曜日

背後

ひとつ気が付いたことがある。

それは、音楽を聞く時に、スピーカーをどこに置くか、と言うことで、

たまたま、ある位置に置いて、仕事をしながら聞いていると、非常に良い。

どういいのか、と尋ねられても、とにかく、いい、としか答えられないが、

まあ、そういうことだ。

で、その、最高のスピーカの位置は、自分の背後、真後ろ。

私の前にあるのは、PCのモニターとキーボード、そして背後にスピーカー。

正確に言うと、「背中の真ん中からまっすぐ後方」、およそ2m50cm。

それより近くても、遠くても、あまり良くない。そう言うことなのだ。



 街角に黒き日傘をとぢる指 あなたの顔が思ひ出せない

               大西久美子 「イーハトーブの数式」より

2020年11月4日水曜日

 あの風のことは憶えている、

あのライラックの花も、

あの灰色も、あの香りも、

あの歌も、そして、あの風も。

でも、あの天使が言ったことだけは、

どうしても思い出せない。

アレハンドラ・ピサルニクAlejandra Pizarnik(1936~1972) 訳:山田リオ

2020年10月27日火曜日

いつも

 いつも どんな時も 

ほんの一瞬でも ほんの少しでも 

心が沈むことがあってはいけない 

いつも どんな時も ほんの一瞬でも

心に怒りが生まれた時には

急いで 踏み消さなければいけない

                                          R.Y.

2020年10月24日土曜日

N先生


今日は、N先生のオンライン集中講義。

正味4時間、あっという間に過ぎた。

濃い時間だった。


 

2020年10月20日火曜日

堅い、そして、

 Baguette, バケット、ではない。バゲット、いや、バにアクセントではない、にアクセント。でも、最後のは、サイレントのT、母音は無し, 舌の先が出す t、という音だけ。何を言ってるんだか。気に入ったバゲットを常に探している。それも、硬いやつ。できれば、皮だけで、中身の柔らかい部分はなくてもいい、いや、ふわふわのパンは、ない方がいい。ああ言うものは、人生には必要ない。そう、硬い、皮だけの、baguette、どこかにないだろうか。でも、それだけではなくて、あの、焼きあがったバゲットの独特の香り、そして、あの、しっかりとした皮の部分を奥歯で何度も噛んで、噛み締めて、また噛んでいったときに出てくる、深い麦と酵母の味が更に大切なわけで、そういうやつにバター、それも無塩バターをつけるか、またはブリーなんかのチーズを乗せて、赤ワインを呑みながら食う。そう言う理想的なパンのある生活。これを、私は、幸福と呼ぼう。







2020年10月14日水曜日

2020年10月13日火曜日

今年も、友達が丹波の栗を送ってくれたので、  さっそく焼き栗にして、いただきました。    秋の味です。     や

 



2020年10月8日木曜日

夜明け前

眠れないまま明け方になって、ベッドの中でラジオを聴いていた。
 柳田邦男という人が、絵本のことを話していた。 
それを聴きながら、いろいろなことを思った。
 柳田さんが話した「星の王子さま」のこと、 
それから、なぜか、遠藤周作の「深い河」のこと。 
様々な出会いのこと、
そして、亡くなった叔父のことを思い出した。 
薔薇と盆栽を育てるのが好きだった叔父。 
小さい頃、母子家庭だった僕を、夏休みの間、
叔父の親戚の、海のそばの家にずっと泊まらせてくれたこと。 
大学生の時に、僕が大きな決断をする際、
非常に強い口調で、僕の決断を支持してくれたこと。 
後にも先にも、彼が、そういう真面目な話をしたのはその時だけだった。 
夜明け前のベッドの中で、その時のことを思い出していた。                         山田リオ
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