「こんなつまらない物たちが」
歌詞:エリック・マシュウィッツ(1901 – 1969、英国)
訳:山田リオ
もう ひとりにしてほしい
わたしを自由にしてほしい
私達をつなぎ止めていたものは
今もまだ 二人のまわりにあって
わたしには 出口が見えない
あんな小さな つまらない物たちが
今もわたしに 幸せや痛みを与える
口紅の付いたタバコの吸い殻
どこか素敵な場所へ行く航空券
そしていまも私の心には翼があって
こんなつまらない物たちが
わたしにあなたを思い出させる
隣のアパートから聞こえてくる ピアノの音
切れ切れの言葉でにあなたに伝えた わたしの気持ち
公園の ペンキを塗ったブランコ
そんなつまらない物たちが
わたしにあなたを思い出させる
あの日あなたはやって来て わたしを征服した
そのとき わたしは運命のことを思った
三月の風が わたしの心をダンサーに変えた
電話が鳴る でも今は 誰も答えない
あなたの幻は まだ消えないで
こんなつまらない物たちが
わたしにあなたを思い出させる
早咲きの水仙の花 長文の心躍る電報
小さなコーナーテーブルの ロウソクの炎
そして今でも わたしの心には翼があって
こんなつまらない物たちが
わたしにあなたを思い出させる
教会の鐘が聞こえていた 夕暮れの公園
カモメが群れていた セーヌの川岸
美しかった春
そんなつまらない物たちが
わたしにあなたを思い出させる
なんて不思議 なんて素敵
いまこんなふうにあなたに会えるのは
わたしをやさしい気持ちにしてくれる
わたしの大切な物たちが
あなたをそばに連れてきてくれる
からっぽの夜更けの駅で聞いた
機関車の蒸気の音
ダンスパーティーの招待状のそばに
脱がれたままの 絹のストッキング
ああ あなたの幽霊は今もわたしを離れない
こんなつまらない物たちが
わたしにあなたを思い出させてくれる
枕のあたりに漂っていた くちなし香水の香り
1キロでたった7フランだった野イチゴ
そして今も 私の心には翼があって
こんなつまらない物たちが
わたしにあなたを思い出させる
グレタ・ガルボの微笑みと 薔薇の香り
夜更けにバーが閉まる時の ウェイターの口笛
ビング・クロスビーが歌う あの歌
そんなつまらない物たちが
あなたを思い出させてくれる
なんて不思議 なんて素敵
いまこんなふうにあなたに会えるのは
わたしをやさしい気持ちにしてくれる
わたしの大切な物たちが
あなたをそばに連れてきてくれる
焚火でくすぶっていた枯葉の匂い 蒸気船の汽笛
通りを行く恋人たちが 夢見るように歩いて行った
ああ あなたの幽霊は 今もわたしを離れない
こんなつまらない物たちが
あなたを思い出させてくれるCopyright © 2004Rio Yamada
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