2017年6月24日土曜日

渡る 

     6/24/2017            山田リオ

アンリ・カルティエ・ブレッソン という

フランス人の写真家がいて

彼が写した 一枚の写真がある

それは ブレッソンの友人で 

彫刻家で画家の ジャコメッティが

パリの街で にわか雨に降られ

慌てて 道路を こっちに渡ってくる そういう写真で

ジャコメッティは 針金みたいに 細い手足の彫刻を作った


ジャコメッテイは レインコートを頭からかぶっていて

そうやって 雨に濡れた道路を渡って来る

かぶっているレインコートのせいで 顔はほとんど見えない

でも 彼の その やせた姿が どことなく あの 

ジャコメッティが作る 彫刻に似ていないこともない

ブレッソンは きっと 微笑しながら

シャッターを押したんだろうと思う

写真を見ていたら レインコートをかぶって 

いそいで 道を渡ってくる あの痩せた男が 

ぼくにとって いちばん大切な友人のように思えてきて

彼を抱きしめたくなった   Copyright©2017RioYamada




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