2017年4月21日金曜日

芭蕉、春


雪間より薄紫の芽独活哉
 

山路来て何やらゆかし菫草
 

さまざまのこと思ひ出す桜かな
 

西行の庵もあらん花の庭
 

命二つの中に生きたる桜かな
 

前髪もまだ若艸の匂ひかな
 

何の木の花とはしらず匂かな
 

草も木も離れ切つたるひばりかな
 

春なれや名もなき山の朝霞
 

月花もなくて酒のむ独り哉

                      松尾 芭蕉(1644 - 1694)

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