2012年8月30日木曜日

万太郎、夏の句 (再録)


ふりしきる雨となりにけり蛍籠(ほたるかご)

亡き人に肩叩かれし衣替え


神田川祭りのなかを流れけり


抜け裏をぬけうらをゆく日傘かな


運不運ひとの上にぞ雲の峰


わが老いの業はねむれず明けやすき


月も露も涼しき永久(とわ)のわかれかな


ひとりむしいかなる明日のくるならむ


短夜の明けゆく水の匂いかな


       久保田万太郎

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