エイコーン、つまり、どんぐり。
道を歩いていて、どんぐりが落ちていると、
拾いたい衝動に駆られる。その衝動に抵抗できない。
とうとう拾ってしまった。
家に帰って、どうする訳でもなく、見ている。
別の日、またどんぐりを見つける。拾ってしまう。
どうすることもできない。
わけがわからない。困ったもんだ。
自信のない詩人、山田リオが書いた詩、作文など、いろいろです。 Copyright © Rio Yamada. Watermark テンプレート. Powered by Blogger.
by 山田 リオ12/16/2003
■2004/11/19 (金) 死刑
「死刑」山田リオ
あの街では もうすぐ ジャカランダが咲く
あの頃 好きな珈琲を呑みに あの店に通った
あの国の人たちは 濃くて甘い珈琲を呑む
そしてみんな 珈琲を呑み チェスをした
「後ろを振り返らず 前だけを見て進め」と 人は言う
何かを思い出す それは良くないことなのか
もう会えない 誰かのことを 思い出すこと
立ち止まって 過ぎ去った時を 振り返る
それは ほんとうに 悪いことなのか
日本に帰ってから ジャカランダの苗を植えた
ジャカランダの紫の花は まだ咲かない
あの珈琲と 同じ味の珈琲を出す店は
探して見たけれど まだ 見つからない
もう 二度と会えない あの友人の笑い声
紫の花の下を歩いた 曇りの五月
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■2004/11/30 (火)
そのホームレスの男に会ったのは
ニューヨーク マンハッタンの
ずっと下の方の 東側 道も狭い
豪華でも 美しくもない 一角
そういう街のコーヒーショップで
わたしは コーヒーを飲んだり
雑用や 書き物なんかをしながら
午後の数時間をすごした
彼は コーヒーショップのすぐそば
歩道のすみっこに 彼の全財産である
襤褸包みといっしょに 住んでいた
つまり そこが 彼の住所だった
先週の ニューヨークタイムス
ヘミングウェイの 小説
彼は いつも 何かを読んでいた
彼と私は いつも 何も言わなくても
二人だけの暗号を 目と目で交わした
そう 彼と私は 同類だったんだ
彼が死んだ日
ニューヨーク市のトラックがやってきて
彼を襤褸包みといっしょに運んでいった
きれいになった 日暮れの舗装道路の上
貧しい人もそうでない人も そこに立ち
お互いに 話したこともない隣人たちが
みんな それぞれ ロウソクを灯して
昨日まで そこに住んでいた
あの ホームレスの男のための
ロウソクの炎が 夜風にゆれているのを
最後の一本が消えてしまうまで
見つめていた Copyright ©2004RioYamada
■2005/08/13 (土) SAD GUITAR
■2010/07/02 (金) |