by 山田 リオ12/16/2003
これは、九つの短い詩です。
子供の頃からくり返し聞いてきたロベルト・シューマン晩年のピアノ曲集「森の情景」
から頂いた印象を詩にしました。
9つの詩の題名は、シューマンのそれぞれの曲の題名を、そのまま使っています。
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Copyright©2003RioYamada
1.「森の入り口」
透明な光が あふれている
ここが 森の入り口だ
やわらかな 腐葉土を踏んで
森の中へと 伸びる小道
その森は だれもが 心の奥のほうに持っていて
心屈し 幻滅し 意気阻喪した時に訪れる
幼いころの思い出が いっぱい詰まった
心の森
2.「待ち伏せる猟師」
大きな木の下蔭にうづくまる
その腕には 黒く鈍く光る 銃
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Copyright©2003RioYamada
1.「森の入り口」
透明な光が あふれている
ここが 森の入り口だ
やわらかな 腐葉土を踏んで
森の中へと 伸びる小道
その森は だれもが 心の奥のほうに持っていて
心屈し 幻滅し 意気阻喪した時に訪れる
幼いころの思い出が いっぱい詰まった
心の森
2.「待ち伏せる猟師」
大きな木の下蔭にうづくまる
その腕には 黒く鈍く光る 銃
木々や下草に紛れて 獣が来るのを待つ
その時が来たら ずっしりと重い銃身から
爆発と硝煙 弾丸が 獣の皮膚と肉を貫く
そのときまで 猟師は 森の影のなかで
枯葉と土の匂いを嗅ぎながら うづくまる
3.「淋しい花」
霧で見えない 遠い あそこ
そこだけ 細い光が射していて
ちいさな 蒼白い花が 咲いている
その花は まえに 見たことがある
なつかしい思い 遠い 思い
その色も おぼえているのに
いつだったろう
見つめても 取り戻せない 遠いもの
細い光のなかの さびしい花
4.「呪われた谷」
石ころ混じりの坂道を下ると 太陽の光は失われ
木々に覆われた道は いよいよ暗く
薄明の中に沈む 場所がある
そこには かすかな 死の匂いさえ
しかし このなんという静けさ 安らかさ
このまま しずかに微笑んで
眠るように むこうがわに行ってしまおう
微笑みだけが溢れる 至福の静けさに
すべてを ゆだねてしまおう
5.「やさしい風景」
森の大木の蔭 うすみどりの 下草
若い常緑樹の葉の上に 金色の陽光が 踊る
その若葉も 下草も やわらかくて
どこかで 小川が流れる音が 聞こえる
それは 細い 小さい流れで その水にも
あの 金色の陽光が 踊っている
6.「森の宿」
もう すっかり暗くなった 森の
遠くのほうで 窓の灯りがゆれる
暖かい 灯りの色
足元に 気をつけながら
あの灯りのほうに向かって
ゆっくりと 歩いて行く
風にのって かすかに
人々の ざわめきが 聞こえる
薪の燃える匂い 煙の匂い
肉や 野菜が煮える 匂い
ああ 歌っている
なつかしい歌だ
みんなが 声をあわせて
あの なつかしい歌を
そうだ いまは あの宿が
わたしが 帰っていける
その時が来たら ずっしりと重い銃身から
爆発と硝煙 弾丸が 獣の皮膚と肉を貫く
そのときまで 猟師は 森の影のなかで
枯葉と土の匂いを嗅ぎながら うづくまる
3.「淋しい花」
霧で見えない 遠い あそこ
そこだけ 細い光が射していて
ちいさな 蒼白い花が 咲いている
その花は まえに 見たことがある
なつかしい思い 遠い 思い
その色も おぼえているのに
いつだったろう
見つめても 取り戻せない 遠いもの
細い光のなかの さびしい花
4.「呪われた谷」
石ころ混じりの坂道を下ると 太陽の光は失われ
木々に覆われた道は いよいよ暗く
薄明の中に沈む 場所がある
そこには かすかな 死の匂いさえ
しかし このなんという静けさ 安らかさ
このまま しずかに微笑んで
眠るように むこうがわに行ってしまおう
微笑みだけが溢れる 至福の静けさに
すべてを ゆだねてしまおう
5.「やさしい風景」
森の大木の蔭 うすみどりの 下草
若い常緑樹の葉の上に 金色の陽光が 踊る
その若葉も 下草も やわらかくて
どこかで 小川が流れる音が 聞こえる
それは 細い 小さい流れで その水にも
あの 金色の陽光が 踊っている
6.「森の宿」
もう すっかり暗くなった 森の
遠くのほうで 窓の灯りがゆれる
暖かい 灯りの色
足元に 気をつけながら
あの灯りのほうに向かって
ゆっくりと 歩いて行く
風にのって かすかに
人々の ざわめきが 聞こえる
薪の燃える匂い 煙の匂い
肉や 野菜が煮える 匂い
ああ 歌っている
なつかしい歌だ
みんなが 声をあわせて
あの なつかしい歌を
そうだ いまは あの宿が
わたしが 帰っていける
たった一つの 場所だ
7.「予言の鳥」
鈍色の空 重たい雲
梢の高いところで 鳥が鳴いている
それは 淋しい 遠い 声
その声を 聴いていると なぜだろう
涙が 流れる
あの鳥は なにを言おうとしているんだろう
あの 静かな 鳥の唄
でも 聴かずにはいられない
あの 遠い 淋しい 鳥の唄
8.「狩りの歌」
遠くから響いてくる あれは銃を撃つ音
あの猟師たちが とうとう鹿を見つけて
銃を撃っている
あの 臆病な 黒目の大きな雌鹿を狙って
銃を打つ音が 森の中に 響く
9.「森との別れ」
わたしの 心の森よ
7.「予言の鳥」
鈍色の空 重たい雲
梢の高いところで 鳥が鳴いている
それは 淋しい 遠い 声
その声を 聴いていると なぜだろう
涙が 流れる
あの鳥は なにを言おうとしているんだろう
あの 静かな 鳥の唄
でも 聴かずにはいられない
あの 遠い 淋しい 鳥の唄
8.「狩りの歌」
遠くから響いてくる あれは銃を撃つ音
あの猟師たちが とうとう鹿を見つけて
銃を撃っている
あの 臆病な 黒目の大きな雌鹿を狙って
銃を打つ音が 森の中に 響く
9.「森との別れ」
わたしの 心の森よ
あなたは わたしの ただ一人の友でした
いつも いつでも そこにいてくれて
失意のとき 生きる勇気を失ったとき
わたしが帰っていける ただ一つの場所
いつも いつでも そこにいてくれて
失意のとき 生きる勇気を失ったとき
わたしが帰っていける ただ一つの場所
それが あなたでした
あなたと 別れるのは 辛いけれど
わたしは 今 この森を出て
外の世界へ 行かなければならないのです
もう一度 あなたに 別れの言葉を
はかりしれない 感謝の思いをこめて
もう 振り返らずに 行きます
わたしの 心の森よ
Copyright©2003RioYamada
あなたと 別れるのは 辛いけれど
わたしは 今 この森を出て
外の世界へ 行かなければならないのです
もう一度 あなたに 別れの言葉を
はかりしれない 感謝の思いをこめて
もう 振り返らずに 行きます
わたしの 心の森よ
Copyright©2003RioYamada
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