2022年9月17日土曜日

過去

 過去とは 私たちが まだ 結論を出すことができない場所のことだ

               マイクル・オンダーティエ (1943~     ) 訳:山田リオ

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2022年9月15日木曜日

コスモス

コスモスの花が明るく咲きめぐり私が居らねば誰も居ぬ家

                   河野裕子 (1946~2010)

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2022年8月31日水曜日

自由律俳句 08/05/2011

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夜の河が見えない夜鶯の歌   夜鶯(ナイチンゲール)

夜風に吹かれている木のとなりに座る


ハイビスカスが咲いて一日中鳥の歌 

オレンジを洗う水を止めると鳥の歌

窓の外は鳥の歌なのに涙ながれて

珈琲ぽたぽた落ちている時が花

紙袋からもれている白桃のかおり 

白桃を切りわけたあとの指のかおり

ナンをください料理はあとでいい

ナンを食べ終わってクミンを噛む

夜の駐車場を風が抜けていく
暗い道のどこかにたしかにジャスミン

だれかがアラブの楽器を弾いている夜
 
スイカを食べている人を見ている

静かなおだやかな音楽のなかにいる

便器を磨いている時間だけの平和

もう会えない人 でもまだそこにいる人

朦朧として歩く雨を思って歩く

途方に暮れているのに笑っていた

静かな細い音楽を全身に浴びている

どんなに一人でもまた誰かと出会う
                    山田リオ Copyright ©2011RioYamada

2022年8月20日土曜日

 眠りから覚めても此処がうつつだというのは少し待て鷺がゐる

                  笹井宏之 (1982~2009)

2022年8月18日木曜日

今日

 ともかくも家の明かりを全部消す今日のつじつまは合はなくてよし

                  永井陽子 (1951~2000)

2022年8月6日土曜日

実朝

世の中は鏡にうつる影にあれやあるにもあらずなきにもあらず

                 源実朝 (1192~1219)
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2022年8月4日木曜日

 透き通る桃に歯ブラシあててみる(こすってはだめ)こすってはだめ

                    笹井宏之 (1982~2009)

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2022年7月20日水曜日

Vanishing Point

 絵画なら遠近法の効いた道 消失点に雷雲の湧く

                    大西久美子

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2022年7月17日日曜日

桜桃

 美しやさくらんぼうも夜の雨も

          波多野爽波 (1923~1991)

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2022年7月14日木曜日

 苔は わたしたちや ほかのみんなにとって 

大切な 多くの知恵と 答えを 持っている

わたしたちが 苔の声 森の声を 聞こうとしないのは

苔の言葉は 人の言葉とは すこし ちがうから

でも よく聴いて 考えれば 苔は きっと 答えてくれる

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2022年7月11日月曜日

2022年7月2日土曜日

代わりの猫は

きみに 会えなくなってから

ずいぶん 永い 時間がすぎた

今朝は また きみの写真を見て

あの時代のこと きみとのことを 思い出していた

きみによく似た 子猫を探そうとか

代わりの猫を 飼おうとかは 一度も 考えたことはないんだ

これからも いつまでも ずっとそうだよ      山田リオ

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2022年6月19日日曜日

空の 高いところでは 風が吹いているらしい

風のことなら 雲に訊けば いい

あのあたりは たぶん 涼しくて

気持ちのいい風が 吹いているんだろう

雲が そう言っているんだから きっとそう

風のことなら いつだって 雲に訊けばいいのさ

                  山田リオ

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2022年6月14日火曜日

美濃部孝蔵

手拭も柄が悪いと手を拭かれ

焼きたてのさんまに客のくるつらさ

味の素あまり不思議でなめてみる

同業に悪く言われて金が出来

のみの子が親のかたきと爪を見る 

               古今亭志ん生 (1890~1973)

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2022年6月13日月曜日

JSB

無伴奏のチェロ曲をバスーン(ファゴット)で演奏しています

この人、好き ヴァハン・クルドイアン    RY
 

2022年6月10日金曜日

閑雅な食慾

             萩原朔太郎 (1886~1942)

松林の中を歩いて
あかるい気分の珈琲店をみた。
遠く市街を離れたところで
だれも訪づれてくるひとさへなく
林間の かくされた 追憶の夢の中の珈琲店である。
をとめは恋恋の羞をふくんで
あけぼののやうに爽快な 別製の皿を運んでくる仕組
私はゆつたりとふほふくを取つて
おむれつ ふらいの類を喰べた。
空には白い雲が浮んで
たいそう閑雅な食慾である


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2022年5月28日土曜日

ああ。

もうすこし 落ち着いたら もうちょっとだけ 安心になったら

そう思いながら ずいぶんと 時間が過ぎていった

辛抱も いい加減 疲れたなあ と 思いながら

いくらなんでも そろそろ どこか 近場の温泉で 一泊だけ

そう思うのは しかたないでしょうよ うんと 我慢したんだから さ

でもなあ 目の前に あの 豪華な料理が並ぶのを想像すると 心がメゲる

大食い大会じゃないし 普段食べられないような贅沢なものを なんて 思わない

お刺身盛り合わせも 冷めた天ぷらも いらない

動物性脂肪分満載の和牛 も いらない 

そうじゃなくて なにか 地元の 山菜とか 野菜の料理を すこし

それと 炊きたてのご飯と お酒 それで ほかには 何もいらない

静かなところで 山や森や川の音だけを聞いて ゆっくり お風呂に入って

時が 目の前を過ぎていくのを じっと 見送っているだけ それで いいんだ

それで いいんだけど なんでかなあ そういう 温泉宿って 

見つからないんだよ ね          R.Y.

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2022年5月25日水曜日

いつくしみ

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2020年6月10日水曜日

母が己が独り児を命を賭けて護るように、
そのように一切の生きとし生けるものに対しても、
無量の慈しみ(いつくしみ)のこころを起こすべし。

     「スッタニパータ」より                                             
     ゴータマ・ブッダ(紀元前五世紀) 
         訳:中村元(1912~1999)

2022年5月21日土曜日

 沈黙はうっすらと苔むしていてどうにもならぬ 爪、入るるなり

              笹井宏之 (1982~2009)








2022年5月17日火曜日

余白

 コーヒーの香りをデスクに置いたまま朝までひとりの余白に眠る

                   大西久美子

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2022年5月16日月曜日

雨音

 一日雨音しつとり咳をして居る

             尾崎放哉 (1885~1926)

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2022年5月14日土曜日

切手

 破かれるかもしれない葉書潮風に過去への切手きっちりと貼る

                 永井陽子 (1951~2000)


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2022年5月12日木曜日

あなた

急ぐ必要は ない

輝く必要も ない

あなたは あなた自身以外の 誰である必要もない

          ヴァージニア・ウルフ (1882~1941) 山田リオ訳



            



2022年5月9日月曜日

寂寥

 寂寥へ到る途は

かならずしもくらいものではない

むしろそれは奇妙な

明るさにあふれている

そののち突如として

訪れる言葉を

私たちが知らないだけなのだ

               石原吉郎 (1915~1977)

2022年5月2日月曜日

ポストに落としたわが手紙の音ばかり

落葉ふんで来る音が犬であった

線香が折れる音も立てない

           尾崎放哉 (1885~1926)



2022年4月18日月曜日

My one and only love

             

            しつこいようですが これ 大好きなので

   いつも 思い出して やさしい きもちになります

   アート・テイタムとベン・ウエブスター

   この二人の演奏で この曲です・・・

   saudade  サウダージ です

   さまざまなこと思ひ出す桜かな 芭蕉     



 

2022年4月17日日曜日

豊かさ

私が たっぷり持っているものが あるとすれば

それは よくわからない 不確かなものばかりだ

そういうものなら 私は いっぱい 持っている

確かなことなんか 私には 何ひとつ ない

私にとって それで 十分なのだ

         ホルヘ・ルイス・ボルヘス (1899~1986) 訳:山田リオ

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2022年4月10日日曜日

山田リオ

そんなふうに 桜は おわった

いつか ふたたび この目で 桜を 見ることがあるのか

それは 考えない 考えないようにする

だって 明日 自分の命が いや それどころか 

世界がどうなるかだって わからないのだから 

でも 自殺しようとかは 思わない

だって 今日は 今は 生きているんだから

明日のことを 心配するのは 無意味なこと

今 この時 たしかに 自分は まだ 生きている

そのことを ありがたく思って 

笑っていよう そうしよう

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2022年4月5日火曜日

未来

くずおれやすい未来を抱いて立っている頭上にいちめん軋む夏空

                   永井陽子 (1951~2000)

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