2020年3月7日土曜日

本牧亭



講釈場すくなくなりし袷かな

(こうしゃくば少なくなりしあわせかな)

       増田龍雨(1874~1934)

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本牧亭(ほんもくてい)は、1857年(安政四年)にオープン、1990年に閉場した、東京で最後の講談専門の寄席だった。
上野広小路の交差点から上野公園の方に向かって最初の狭い路地を左に曲がったところにあった。
現在あるトンカツ屋さんの左側、筋向かいの辺りだったと思う。(2020年現在)


2020年3月4日水曜日

いのち


「この世界は美しいものだし、人間の命は甘美なものだ」

           ゴータマ・ブッダ (紀元前5世紀)
             訳:中村元(1912~1999)
rio yamada photo

2020年3月2日月曜日

rio yamada photo, Palos Verdes

幾たび 空が落ちてこようと
わたしたちは 生きなければいけない。
   
                                    D.H.ローレンス
           訳:山田リオ

2020年3月1日日曜日

ひとり



ゴッホには、テオがいた。

弟であり、全世界でたった一人の理解者であり、
どんなときも、全力で兄を支えたテオがいた。

そういう、ひとりの人間が与えられたことは、
ゴッホにとって、ほんとうに幸運なことだったと思う。

            山田

2020年2月17日月曜日

冬の蘭



真冬なのに 今年も咲いた 蘭
母が まだ元気だった頃に
買って来て 家の外に置いて
そのまま 手入れもしないで
たまに 水やりするだけ
でも ずっと生きてきた 蘭が
寒さの中で また咲いた
オーキッド 白い蘭

        やまだ

2020年1月7日火曜日

冬の句


遠くまで行く切符なり冬の雲

紙ほどの薄さのこゑの冬鴎

抽斗の闇の矩形の寒さかな

      藤山直樹(1953~)

 (鴎:カモメ 抽斗:ひきだし)

ここにいる


人々が みんな立ち去っても 私 ここにいるわ

             12/01/1984  松任谷由実


2020年1月2日木曜日

繭玉


繭玉の霞むと見えて雪催ひ

(まゆだまのかすむとみえてゆきもよい)

          増田龍雨

2019年12月30日月曜日

すべて

rio yamada photo

すべてを失った後 わたしたちはもう一度出会う


この世界でただひとつの喜びは 始めるということだ


   

 チェザーレ・パヴェーゼ(1908~1950 イタリアの詩人)
                    山田リオ訳

2019年12月27日金曜日

ドーナッツの中心

rio yamada photo

リンゴを食べた後に残った部分は
ドーナッツの中心部分に似ている
人が立ち去った後には何が残るか
冬の朝陽の中でじっと考えている

         山田リオ

2019年12月23日月曜日

見つめる


眠るときも 醒めているときも
一日中 いつでも 常に
そのことから 眼をそらさぬこと
いつもいつでも 笑うときも泣くときも
自分が 必ず 滅びることを
自分の肉体も心も いつか滅びることを
忘れず 眼をそらさず
見つめ続けること
それが 生きるということ

      山田リオ  


2019年12月21日土曜日

生きろ

rio yamada

びっくりするようないいことに
出会うことが たまにある
そういう いいことに出会うには
死なないで 生きていればいいんだ
はんぶん ねていたって いいんだ
ただ 生きてさえいれば いいんだよ

         山田リオ

       

2019年12月20日金曜日

忘れ得ぬ

by E.K.

たとえそれが ある日 全て失われ
無に帰する と わかっていても
それでも 
己れに生ある限り 
忘れ得ないものを

        山田リオ

2019年12月17日火曜日

ノスタルジア

rio yamada photo

不思議な心の痛み
懐かしさのあまり 死ぬということ
まだ見ぬものを 決して経験しえないことを
懐かしみ あこがれるあまり
死ぬ ということ

     アレッサンドロ・バリッコ(1958~)
                                                 訳:山田リオ

2019年12月13日金曜日

逃げる

rio yamada

走っても走っても追いかけてくるもの
気がつくともう背中の後ろにきている
どんなにはやく逃げても逃げきれない
でも逃げるのをやめられないので走る

           山田リオ

2019年12月11日水曜日


夢の戸を閉め忘れたる朝と思ふ 筆立てに筆いつぽんもなし

           笹井宏之(1982~2009)

Keiji I. photo

2019年12月8日日曜日

石焼き芋

rio yamada photo

遠くから
焼き芋売りのおじさんの 声が聞こえたので
外に出て 走って追いかけて追いついて
路上で すこし立ち話をしてから
焼き芋を買った 小雨の降る寒い晩
熱い熱い焼き芋 うれしい焼き芋を
うす茶色の紙で 包んでくれる
それを持って 走って家に帰るまでに
両手だけは あたたかくなった
でも 耳も顔も まだつめたい
急いで食べよう 今すぐ食べよう
あたたかい 焼き芋

         山田リオ

無言

rio yamada

今日一日だけは
無言で暮らそう
誰にも会わない
空気を読まない
世間話もしない
そういうふうに
静かに暮らそう
今日だけでいい
それができたら
どんなにいいか

        山田リオ

2019年12月2日月曜日

憂慮

「年齢なんて無意味だ。ただし、あなたがチーズなら別だが。」

「アペリティフ(食前酒)の衰退は、われわれの時代における最も憂慮すべき現象だ。」

         ルイス・ブニュエル(1900~1983)      翻訳:山田リオ 
Rio Yamada

全部

rio yamada photo

私はここに、私が知らないことを
すべて、ひとつ残らず持っている。
ひとつも、なくしてはいないんだ。

      W.S.マーウィン(1927~2019)

2019年12月1日日曜日

柘榴

rio yamada photo
雨の朝 
ざくろを割ってみた
いい感じに 熟れている
食べてみた
一粒づつ 指でつまんで 口に入れる
甘さ 酸っぱさ 朝の冷たさ 秋の味
ただ この作業は 止まらなくなる
次から次に ひとつぶ ひと粒 
食べて 味わって 種を出し またつまむ
やめられないのが 困ります
そのうえ 深紅の粒々をつまんだ指先が
黒くなるのも困ります    

           山田リオ

2019年11月30日土曜日

小舟

rio yamada photo

どこまでも流れ下って行く
金色の光の中を漂いながら
人生が夢でないのなら 何?

 「鏡の中のアリス」より 山田リオ訳
  ルイス・キャロル(1832~1898) 

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「鏡」の最後の最後の三行です。

アリスは、いわゆる童話とは別の物だと思います。
子供向きに簡略化してはいけないし、もちろん、アニメにした物は、最も大切な部分が失われてしまっています。
そして、「不思議の国のアリス」も、「鏡の国のアリス」も、機会があったら原作を、英語で読んでいただけたら、と心から思います。 やまだ

2019年11月29日金曜日

Estate (夏)
      ブルーノ・ブリゲッティ(イタリア) 翻訳:山田リオ

rio yamada photo
夏は 過ぎ去った口付けのように熱く
なくしてしまった恋でいっぱいだ
もう なにもかも忘れてしまいたい 夏

私たちをあたためてくれた 夏
それは素晴らしい夕日をもたらし
今はただ わたしを激しく焼く

やがて冬がめぐって来て
無数のバラの花びらは散り
雪がすべてをおおいつくして
束の間の平和を与えてくれる

花々に香りをもたらした 夏
私たちの恋を創造してくれた 夏
あの素晴らしい夏が去った今
残されたのは 心の痛みだけ

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イタリア人のブルーノ・ブリゲッティが作詞した「夏」は、
ブラジル人のジョアン・ジウベルトが歌って有名になりました。どうも、知らない言葉が多いなあ、と思ったら、ポルトガル語ではなく、イタリア語だったわけです。
イタリア語の歌詞をそのまま歌ったということで、ブラジルでは珍しい歌です。 山田

2019年11月25日月曜日

まぼろし

   (イルザオン・トア)
      詩:アウフレド・ジョセ・シウヴァ(ブラジル)訳:山田リオ

見てごらん あなたの眼から たった一日分の距離
ほんの少しの差で わたしは 愛を失ってしまった
いまは 全世界が ひどく悲しいだけの場所だから
それでも なぜか あなたは今も すぐそばにいる
もう あの ひそかな思いなんか捨ててしまおうと
そう思い切ることができた自分に 感謝していても
そう あの たった一人に向ける ひそかな思いが
でも あなたは それに 全く気がつかないままで
あなたのまぼろしの重さに 打ちひしがれている私
  

2019年11月23日土曜日

朝露

rio yamada photo

雨と風の日々がつづいて 
やっと 陽がさしてきた 
いいことがありそうな朝

2019年11月17日日曜日

無言

rio yamada photo

人は、時には、語らなければいけない。
無言が全てを語ってしまうのを避けるために。

      ヘルタ・ミュラー(1953~)

2019年11月14日木曜日

向日葵


ひまはりのアンダルシアはとほけれどとほけれどアンダルシアのひまはり

             永井陽子(1951~2000)
rio yamada photo

2019年11月13日水曜日

わたしの好きな

rio yamada photo
          山田リオ

今日は いい雲に出会ったので
コレクションに加えた
好きな雲が すぐに消えてしまう雲が
これで 手元に残せる

好きなクラシックの演奏家の録音を
今日もまた 再生して 聴いている
それは 静かで ゆるやかなので
聴けば しばらくは幸福になれる
いつでも 何度でも 幸福になれる

前から好きだと思っていた画家
世間では あまり人気のない画家
でも その人の描いた 絵を見つけて
何度も出してきて 見ている
見るたびに 心がいっぱいになって 
うれしくて 笑顔になってしまう

2019年11月12日火曜日

つわぶきの花


いくたびか時雨のあめのかかりたる
石蕗の花もつひに終わりぬ

       斎藤茂吉(1882~1953)

                                 時雨 (しぐれ)
        石蕗 (つわぶき)

2019年11月7日木曜日

茂吉


うつしみはついに悲しとおもへども
迫り来ひとのいのちの悲しさ

          斎藤茂吉(1882~1953)