2024年5月30日木曜日

2024年5月22日水曜日

合掌

 連禱  思潮社刊  依田義丸 (1948~2024) 



依田先生、ありがとうございました。

         山田リオ




2024年5月12日日曜日

なつかしさ

                山田リオ


あの街では もうすぐ ジャカランダが咲く

あの頃 好きな珈琲を呑みに あの店に通った 

あの国の人たちは 濃くて甘い珈琲を呑む

そしてみんな 珈琲を呑み チェスをした


「後ろを振り返らず 前だけを見て進め」と 人は言う

何かを思い出す それは良くないことなのか

もう会えない 誰かのことを 思い出すこと

立ち止まって 過ぎ去った時を 振り返る 

それは ほんとうに 悪いことなのか


日本に帰ってから ジャカランダの苗を植えた

ジャカランダの紫の花は まだ咲かない

あの珈琲と 同じ味の珈琲を出す店は 

探して見たけれど まだ 見つからない


もう 二度と会えない あの友人の笑い声

紫の花の下を歩いた 曇りの五月

世界は なつかしさで 溢れている Copyright ©2024RioYamada

          

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2024年5月8日水曜日

最後のコーヒー

                                            カトゥーロ・カステイーヨ (男性、アルゼンチン1906~1975)  


記憶は つむじ風と共に 蘇る
あれは 秋の夕暮れのこと
私は 降る雨を見ている
雨を見ながら コーヒーのスプーンを動かして

あの 最後のコーヒーのあと
あなたの唇は 冷たいだろう
そう問いかける 
ため息交じりの声が 聞こえた

あなたの軽蔑が なぜか まだここに
あなたはもういないのに 声が聞こえる
二人の関係が終わった あの時あなたは
甘くて苦い味のする さよならを言った

そう コーヒーと同じ
愛よりも 忘れ去ることよりも
本当に最後の わけのわからない
炎のような 怒りとめまい

そうだ あのとき私は
不信感の隣に立って 死んでいた
あなたの自己愛を知った あの時
私は 私の寂しさの理由を 理解した

雨が降っていた そして 私はあなたに
最後の 一杯のコーヒーを 差し出した
訳:山田リオ
© rio yamada



 

2024年5月6日月曜日

幸福

全粒粉の麦が強く香る、堅いパン。

それを噛んで、噛んで、食う、そういうパンと、

熟成したチーズ、そして、お気に入りの赤ワイン。

以上の三つがある生活を、「幸福」と呼ぶ。

もしも、ふんわりとやわらかなパンが欲しくなったら、

そのときは、もう・・・          山田リオ

© rio yamada



2024年5月3日金曜日

自由

 ただ、自分自身の楽しみだけのために書き、創る。

                  山田リオ 

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