悲しみ
かなしみと
わたしと
足をからませて たどたどとゆく
草をむしる
草をむしれば
あたりが かるくなってくる
わたしが
草をむしっているだけになってくる
雨の日
雨が すきか
わたしはすきだ
うたを うたおう
虫
虫が鳴いてる
いま ないておかなければ
もう駄目だというふうに鳴いてる
しぜんと
涙がさそわれる
水や草は いい方方である
はつ夏の
さむいひかげに田圃がある
そのまわりに
ちさい ながれがある
草が 水のそばにはえてる
みいんな いいかたがたばかりだ
わたしみたいなものは
顔がなくなるようなきがした
雨
雨は土をうるおしてゆく
雨というもののそばにしゃがんで
雨のすることをみていたい
八木 重吉(1898 - 1927)
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