2018年5月30日水曜日

八木 重吉 ④

悲しみ

かなしみと
わたしと
足をからませて たどたどとゆく

草をむしる

草をむしれば
あたりが かるくなってくる
わたしが
草をむしっているだけになってくる

雨の日

雨が すきか
わたしはすきだ
うたを うたおう



虫が鳴いてる
いま ないておかなければ
もう駄目だというふうに鳴いてる
しぜんと
涙がさそわれる

水や草は いい方方である

はつ夏の
さむいひかげに田圃がある
そのまわりに
ちさい ながれがある
草が 水のそばにはえてる
みいんな いいかたがたばかりだ
わたしみたいなものは
顔がなくなるようなきがした



雨は土をうるおしてゆく
雨というもののそばにしゃがんで
雨のすることをみていたい

                        八木 重吉(1898 - 1927)

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