2017年3月6日月曜日

あんしん

                     山田リオCopyright©2017RioYamada
しょうがくせいのとき
くらくなってから でかけて
ちかくの いけにいった

そこは ひるま ひとりで くちぼそをつったり
アメンボが すいめんをすべるのをみたりする
おきにいりの すきなばしょだった

このひは よるになってから いけにいった
いけのそばで しゃがんでいた
まっくらな いけのほうから カモのこえがきこえた

みんな ちいさいこえで はなしていた 
「おい」「いるか」「いる」「よし」
「ここ」「だいじょぶ」「いる」「うん」

そんなふうに みじかいことばで 
「ここ」「げんき」「いる」「うん
「ねたか」「おきてる」「うん」「だいじょぶ」

すこしだけ なにもきこえなくて で また
「おい」「なに」「だいじょぶ」「うん」「いっしょ」
「あんしん」「うん」「いっしょ」「あんしん
ちいさいこえで きれぎれに 

さむくなってきたから かえろうとおもった
たって いけをみたけど なにもみえない
くらいみちを だまって ひとり あるいた
かもは あんしん
かもは あんしん
ぼくはだまって ひとりあるいた Copyright©2017RioYamada
 

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