今よりはいとはじ命あればこそ
かかるすまひのあはれをも知れ
あはれあはれこの世はよしやさもあらばあれ
来む世もかくや苦しかるべき
なにごとも変はりのみゆく世の中に
おなじかげにてすめる月かな
秋はただ今宵一夜の名なりけり
同じ雲居に月はすめども *今宵一夜(こよいひとよ)
いつとなく思ひに燃ゆるわが身かな
浅間の煙しめる世もなく
なき人のかたみにたてし寺に入りて
跡ありけりと見て帰りぬる
風になびく富士の煙の空に消えて
ゆくへも知らぬわが思ひかな *煙(けぶり)
西行法師(1118-1190)
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