2015年11月27日金曜日

八木 重吉




ながいこと考えこんで
きれいに諦めてしまって外へ出たら
夕方ちかい樺色の空が
つめたくはりつめた
雲の間に見えてほんとにうれしかった

冬の野

死ぬことばかり考えているせいだろうか
枯れた茅のかげに
赤いようなものを見たとおもった


八木 重吉(1898 - 1927)

2015年11月2日月曜日

喪服 2008

■2008/05/24 (土) 喪服
Copyright ©2014Rio Yamada
















「喪服」         山田リオ

夢を見た。
ニューヨーク、グランドセントラル駅の地下のバーにすわっている。
グラスの酒を呑んでいる。それがすばらしく旨い。
誰かを待っているような気もするし、そうでもないような気もする。
だいぶ時間がたって、背後に、誰かが座る気配がすると、
その人が、自分の背中に寄りかかってくるのを感じる。
その感触から、それが女であることがわかる。
しかし、振り返って見ることはしない。
その女は、じっとそのまま、自分の背中に寄りかかっている。
「ああ、この女は、喪服を着ているんだな」と
思うともなく思う。そういう感じが伝わってくるからだ。
ただ、そうやって、酒を呑んでいる。
酒は、おそろしく旨い。Copyright ©2008Rio Yamada