■2006/12/03 (日) 初めてのジャスミン
”The First Jasmines” by Rabindranath Tagore
「初めてのジャスミン」(詩集「三日月」より)
ラビンドラナート・タゴール(1861~1941、インド)訳:山田リオ
ああ、ジャスミン、このジャスミンの白い花を
初めて、両手いっぱいに抱えたあの日を思い出す
ジャスミン、このジャスミンの白い花
わたしは愛していた
陽光と空と緑の地球を
真夜中の暗闇のむこうからくる
川の水音を聞いていた
秋の夕日は、淋しい荒地の道の曲がり角から
わたしのほうにやってきた
花嫁がヴェールをそっと持ち上げて
恋人を迎えるように
でも私の記憶は、今でも甘く香っている
子供だったわたしが
あのとき、両手いっぱいに抱えていた
あの、初めての白いジャスミンの花
私の人生にも、たくさんの喜びの日々が訪れた
祭りの日には、みんなといっしょに騒ぎ、笑った
雨が降る灰色の朝には
無意味な歌を、いくつも小声で歌った
愛の手が編んでくれた
夕暮れのバクラスの花輪を
わたしは首にかけた
でも私の記憶は、今でも甘く香っている
子供だったわたしが
あのとき、両手いっぱいに抱えていた
あの、初めての白いジャスミンの花
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