(1882-1953)
あかあかと一本の道とほりたりたまきはる我が命なりけり
(あかあかと一本の道とおりたりたまきはる我が命なりけり)
かがやけるひとすぢの道遥けくてかうかうと風は吹きゆきにけり
(かがやけるひとすじの道はるけくてこうこうと風は吹きゆきにけり)
しんしんと雪ふるなかにたたずめる馬の眼はまたたきにけり
(しんしんと雪ふるなかにたたずめる馬のまなこはまたたきにけり)
橡の太樹をいま吹きとほる五月かぜ嫩葉たふとく諸向きにけり
(とちのふときをいま吹きとおるさつき風若葉尊くもろ向きにけり)
草づたふ朝の蛍よみじかかるわれの命を死なしむなゆめ
(草づたう朝の蛍よ短かるわれの命を死なしむなゆめ)われ←「おまえ」の意
ゆふされば大根の葉にふる時雨いたく寂しく降りにけるかも
(夕されば大根の葉にふるしぐれいたく寂しく降りにけるかも)
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