2022年5月28日土曜日

ああ。

もうすこし 落ち着いたら もうちょっとだけ 安心になったら

そう思いながら ずいぶんと 時間が過ぎていった

辛抱も いい加減 疲れたなあ と 思いながら

いくらなんでも そろそろ どこか 近場の温泉で 一泊だけ

そう思うのは しかたないでしょうよ うんと 我慢したんだから さ

でもなあ 目の前に あの 豪華な料理が並ぶのを想像すると 心がメゲる

大食い大会じゃないし 普段食べられないような贅沢なものを なんて 思わない

お刺身盛り合わせも 冷めた天ぷらも いらない

動物性脂肪分満載の和牛 も いらない 

そうじゃなくて なにか 地元の 山菜とか 野菜の料理を すこし

それと 炊きたてのご飯と お酒 それで ほかには 何もいらない

静かなところで 山や森や川の音だけを聞いて ゆっくり お風呂に入って

時が 目の前を過ぎていくのを じっと 見送っているだけ それで いいんだ

それで いいんだけど なんでかなあ そういう 温泉宿って 

見つからないんだよ ね          R.Y.

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2022年5月25日水曜日

いつくしみ

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2020年6月10日水曜日

母が己が独り児を命を賭けて護るように、
そのように一切の生きとし生けるものに対しても、
無量の慈しみ(いつくしみ)のこころを起こすべし。

     「スッタニパータ」より                                             
     ゴータマ・ブッダ(紀元前五世紀) 
         訳:中村元(1912~1999)

2022年5月21日土曜日

 沈黙はうっすらと苔むしていてどうにもならぬ 爪、入るるなり

              笹井宏之 (1982~2009)








2022年5月17日火曜日

余白

 コーヒーの香りをデスクに置いたまま朝までひとりの余白に眠る

                   大西久美子

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2022年5月16日月曜日

雨音

 一日雨音しつとり咳をして居る

             尾崎放哉 (1885~1926)

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2022年5月14日土曜日

切手

 破かれるかもしれない葉書潮風に過去への切手きっちりと貼る

                 永井陽子 (1951~2000)


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2022年5月12日木曜日

あなた

急ぐ必要は ない

輝く必要も ない

あなたは あなた自身以外の 誰である必要もない

          ヴァージニア・ウルフ (1882~1941) 山田リオ訳



            



2022年5月9日月曜日

寂寥

 寂寥へ到る途は

かならずしもくらいものではない

むしろそれは奇妙な

明るさにあふれている

そののち突如として

訪れる言葉を

私たちが知らないだけなのだ

               石原吉郎 (1915~1977)

2022年5月2日月曜日

ポストに落としたわが手紙の音ばかり

落葉ふんで来る音が犬であった

線香が折れる音も立てない

           尾崎放哉 (1885~1926)