2021年11月28日日曜日

2021年11月27日土曜日

自転車

こよひはたれが逝く斑鳩の参道をまっすぐに来る無人の自転車

              永井陽子 (1951~2000)  斑鳩(いかるが)

rio yamada photo


2021年11月25日木曜日

こうさてん

へんくつなうさぎが来るぞほよほよと昔の風の吹く交差点

              永井陽子 (1951~2000)





2021年11月18日木曜日

対価

 今はもう会えない 友人の一人が 言っていた事がある

それは 「大きな幸運に恵まれた人は

一生の間に その幸運に釣り合うだけのprice

対価 を支払うことになる」という 

つまり 幸運と 不運は 一生の中で帳尻が合う 

というのだ

そう考えてみると なるほど と思うこともある

幸運ばかりの一生 それを願っては いけないのか?

おい R    いたら返事してくれ



2021年11月6日土曜日

無常

 秋が熟れてゆく でも

わたしは このまま 

かわらない

いつも なにがあっても 

わたしも 蜘蛛も

鳥獣蟲魚も 草も木も みんなみんな

いっしょに このまま いつも いつまでも 

かわらない

               山田リオ

rio yamada photo


             


2021年11月3日水曜日

書籍のことなど

吉田健一の「汽車旅の酒」という随筆集の中の「東北本線」という一章に 

列車で たまたま隣り合わせた 男との 会話が書かれていて

その男の 話の中で アフリカの ブッシュマンという民族は 

土地を 所有する習慣が なかったため

後からやってきた 西洋人に 野生の獣のように 扱われた という

ブッシュマンは 土地を所有することがなく 

自然を 荒らしたりすることもなく

自分たちが 自然の一部として 自然を手なずけ 

飼い慣らしながら 共に生きているのだという

そういう話を 見ず知らずの男から 聞かされる

その中で 吉田健一は ブッシュマンが住んでいるという 

カラハリ砂漠の 夕焼けのことを 書いていて

私は 見たこともない カラハリ砂漠の 夕焼けが 

強く 印象に残っている

この本は いつも 目につきやすい場所に 置いてあって

気が向けば ちょっとだけ読んで また そこに戻しておく

つまり 「汽車旅の酒」 の定位置は 本棚ではない 


気がつけば  電子書籍の書庫には ずいぶん 「本」が増えた

いくら書籍が増えても 電子書籍は 場所をとらない

海外で出版された本でも あっという間に送信されて 読むことができる

といっても それらの本には 実体がないから 「置き場所」もない

本の表紙に 指先で触れて 紙質を感じたり フォントを 味わったり

本を手に取り その 重みや 厚みを 感じることができない

たしかに 電子書籍に 書かれていることを 読むことはできる

しかし 本棚に並んだ お気に入りの本たちの 背表紙を

順繰りに 眼で愛撫していく そういう 楽しみは ない

読みかけのページに 栞を挟んでおくという よろこびもなく

心に残った部分や 自分が好きな 詩のページに 付箋を貼ることもない

だから 電子書庫をたまに開くとき かすかな虚しさを感じるのは

私だけだろうか         山田リオ





2021年11月2日火曜日

人形のアリア


    オッフェンバッハのオペラ「ホフマン物語」から。

     ナタリー・デセイ(フランス)、ソプラノ。