2019年5月31日金曜日


風吹く家のまはり花無し

       尾崎放哉(1885-1926)
  (おざきほうさい、無季自由律俳句)
 

2019年5月27日月曜日

遠い渚



ここから波音きこえぬほどの海の青さの
                        
                   尾崎放哉(1885-1926)
                        (おざきほうさい、無季自由律俳句) 
 
いつも、要町にある、もりかずさんの海の絵を思い出す。
あれも、ずっと遠いところで波が砕けているのが見える。 
でも、聞こえない Copyright ©2015RioYamada

2019年5月22日水曜日





「始まりも、終わりもない。
人生への限りない情熱があるだけだ。」
                

  フェデリコ・フェリーニ (1920–1993)

2019年5月17日金曜日

雨の日


          ジョニー・バーク(1908-1964) 訳:山田リオ

あの夢の残りを とっておけばよかった
ふしぎと 今日もまた 雨の日だ
だれかが 話していた 雨の日だ 
思った通りだ と 考えてから 
笑ってしまった

もう捨ててしまった 擦り切れた願いは どこにある
それは愛を すぐそばまで 連れて来てくれたのに
ふしぎと いつも愛は 冷たい雨の日に変わってしまう 
ふしぎと 今日もまた 雨の日だ

 https://www.youtube.com/watch?v=_R6E_2GZ3Pg

2019年5月15日水曜日

救い

三百年も昔の 鍵盤楽器の音楽を
現代の楽器で ピアノで弾く
ドラムセットもアンプリファイアもない
ゆったりとした 静かなポリフォニー
丸い 濡れた おだやかな音に
わたしは日々 救われる 
Copyright©2019RioYamada     山田リオ 

 

2019年5月11日土曜日

たんぽぽ

                     山田リオ

Dandelion 蒲公英  タンポポ Taraxacum
だれが どんな名前で呼ぼうと
季節が巡って 時が来れば
けっして忘れたりしないで
そこらじゅうから いっせいに
出てくるきみたち
律儀に 確実に 間違いなく
黄色くて 緑色のきみたちは
土の中から出てくるんだねえ


花 という言葉が生まれたのは
つい最近のことで
春 という言葉を考え付いたのも
ほんの昨日のことだけど
それよりも ずっとずっと昔から
きみたちは
そこにいたんだね
 
自転車はすぐに錆びる
崩れて 粉になって 溶けて
消えてなくなる
そしてぼくも 自転車と同じように
やっぱり すぐにこわれて
錆びて 崩れて 溶けて
いなくなるんだろう

でも きみたち
黄色くて 緑色のきみたちは
なにがあろうと
自転車や人間が どうなろうと
まるっきり平気で
季節がめぐって 時がくれば
けっして 忘れたりしないで
そこらじゅうから いっせいに
出てくるんだろうねえ
律儀に 確実に 間違いなく
土の中から出てくるんだろうねえ
Copyright©2014RioYamada

2019年5月10日金曜日

バス停の罌粟


バスを待っている
足元に ポピー 
小さい 罌粟 けしの花
 Copyright©2019RioYamada 

2019年5月8日水曜日

風船画伯



風船画伯 谷中安規のことを
思いだしていました

柏餅


柏の葉で巻いてあるので 柏の香り
でも 餅に 蓬の葉を練り込んであるので
よもぎの香りも する
その中にある餡は 小豆の粒あん

2019年5月3日金曜日

日一日とはなんであるのか

©RioYamada 

どんなにうまく一日を暮し終へても
夜明けまで起きてゐても
パンと牛乳の朝飯で又一日やり通してゐる

彗星が出るといふので原まで出て行つてゐたら
「皆んなが空を見てゐるが何も落ちて来ない」と暗闇の中で言つてゐる男がゐた
その男と私と二人しか原にはゐなかつた
その男が帰つた後すぐ私も家へ入つた

       尾形 亀之助(1900 - 1942)