曇りの朝。
新人のカラスが登場。
初めて聴くパターンの唄。
mp、メッツォピアノで。
カラスは唇も歯もないのに、
「とわ」なんて、
複雑な音を発音できるんだな。
すごいことだ。
この個体、天才なのか?
それにしても、いったい、
どういう意味なんだろう・・
彼の居ない部屋
部屋には洋服がかかつてゐた
右肩をさげて
ぼたんをはづして
壁によりかかつてゐた
それは
行列の中の一人のやうなさびしさがあつた
そして
壁の中にとけこんでゆきさうな不安が隠れてゐた
私は いつも
彼のかけてゐる椅子に坐つてお化けにとりまかれた
尾形亀之助1900-1942)