人生については、あまり真面目に考えないことだ。
どうせ、生きては出られないんだから。
エルバート・ハバード (1856~1915) 山田リオ訳
■2011/04/01 (金) |
■2006/07/02 (日) 蜂 |
静かだったあの町の 家の小さな庭に
蜂が来るようになった
スズメバチが 最初の常連で
アシナガバチも 来るようになった
毎朝 水を飲みに来るのだ
なにしろ ここは砂漠の町なので
すべてが乾燥している
わたしが 朝 野菜に水遣りをするのを知っていて
その時を 待っているのだ
庭に出ていくと すぐに翔んで来て
頭のまわりを ぐるぐる翔び回る
スズメバチも 知り合いだから 安心だ
一通り ホースで水をまいて
レンガや 塀にも 打ち水をする
蜂は バジルの苗がお気に入りで
水玉が光るバジルの葉にとまって
ゆっくり 水を飲んでから
垂直に上昇して どこかに翔んでゆく
帽子をかぶって リュックを持って
仕事に出かける時でも おかまいなしに
耳のそばで あの蜂の声で
「水をくださいいいいいい」と言うから
急いで出かける時だって
やっぱり 水をあげないわけにはいかない
子供のころから 昆虫や鳥とは 深いつきあいだった
複雑でやっかいな 人間とのつきあいより
それは はるかに心安らぐものだから
ある意味 彼らは ほんとうの友人とも言える
でも 今になって あの頃を振り返って 思う
あの 砂漠の町の 人間ではないご近所さんたちは
残された 命の時間を 共に生きる彼らは
わたしにとって かけがえのない 仲間だ
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