2018年6月24日日曜日

そばにいるひと

         山田リオ

なぜぼくが
たとえば あの人の詩ばっかり
何度も何度もくりかえし 読んでいるのか
それは あの人に ある時 
出会ってしまったからで
出会ってからというもの
ぼくが 生きていくなかで 
いつも そばにいてくれて
ぼくが すくわれてきたからで
それは あのひとの詩 ばかりじゃないんだけど

出会ったのは だれに薦められたわけでもなく
じぶんで ひとりで
そのひとと 出会って
それから 読むたびに
つらくなったり かなしくなったり
気持ちが楽になったり たすかったり
そういうことが あってから

きがつけば また読んだり 
あのひとのことを 思い出したり
つまり ああいう いくつかの言葉だけではなく

あのひとが 生きたことや なにもかもが 
ぼくの いきていることの 一部になったのです
Copyright ©2018RioYamada

2018年6月22日金曜日

花芙蓉


花の写真を撮るのは
気がすすまない
でもなぜか
撮った 

この時期は
気持ちが沈むから
それでかな
花芙蓉

花の俳句も
あまり好きじゃない
夏の海も
Copyright ©2018RioYamada         RY

2018年6月20日水曜日

昆虫 2004

2004/12/16 (木) 昆虫

                山田リオ



ハンミョウ
わたしは、昆虫になりたい
本能という神によってプログラムされ入力された手順に従って
考えることなく、しかし間違いなく設計図のままに行動し
孵化し、脱皮し、変態し、食い、交尾し、繁殖し
短い生をまっすぐに生きて確実に死んでゆく
そういう昆虫になりたい

朝露に濡れた草むらに住むセスジツユムシでもいい
ルビーやエメラルドのブローチのようなハンミョウもいい
水辺の妖精のようなクロイトトンボも
青い空をその体に写し取ったようなヤマトシジミもいい
金色と緑に輝くコガネムシでもいい

昆虫はあまり頭は良くないから
明日の生活の心配で眠れない夜を過ごすこともなく
死への恐怖をながながと想像して苦しむこともない
まわりの虫たちが自分をどう思っているかなど考えたこともなく
ただ、愚かに、今日を生きる

昆虫は過去の記憶をたどることもないから
失敗や失望や裏切りや恨みを疲れ果てた牛のように
何度も何度も胃から吐き戻してまた噛み砕き味わうこともなく
誰が良い虫で正しく、誰が悪い虫で間違っているかなどわからない
餌になる虫が来れば殺して、食う。ただ、生きるために。

短い一生をすこしも疑うことも迷うこともなく
後悔も不満も嫉妬も優越感も成功も失敗もなく
愚直に、しかし全力で、まっすぐに
あっという間に走り抜ける
あの昆虫になれたら。 Copyright ©2004RioYamada


ムラサキシジミ
完璧な 無私
蝶は 

自分が 美しいことを
知らない 
ただ 林の中に消えて行く

      ジャック・ケルアック(1922 – 1969)
      訳:山田リオ 

2018年6月16日土曜日

尾崎放哉 


一日物云はず蝶の影さす

               尾崎放哉(1885-1926)

         (おざきほうさい、無季自由律俳句)

2018年6月15日金曜日

梅雨寒


どっちみち梅雨の道へ出る地下道

                        池田澄子(1936~)



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タカラモノ。
写真は、子供の頃、祖父に貰ったガラスの文鎮です。
直径、約6cm。
祖父が何時、どこで手に入れたかは知りません。 やまだ

2018年6月10日日曜日

鐡齊

須耐煩書

「須く煩に耐うべし」(すべからくはんにたうべし)

「面倒なことでも、我慢してやりなさい」

                   大正十年一月 八十六歳 

 鐡齊錬 (富岡鉄斎 1837-1924)

2018年6月7日木曜日

放哉

https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhjDbkI72Ccv1Tvf6W09hu0zSL9y8dTv4ovKJsqs1EVpc_80uVZBwZHkIF8Pa5mv7It9i6ve1f7dZ_eWXUabkuoJPKwCNtaVP-p4YDlBKs9g5nFjYcVZUwMmd8eeKAsGBnmcRnSmtvxdYmq/s200/spiderDoingFine+-+%25E3%2582%25B3%25E3%2583%2594%25E3%2583%25BC.jpg 
蜘蛛もだまって居る私もだまって居る


              尾崎放哉(1885-1926)