(2011/09/11に掲載した記事ですが、検索できないとのご指摘があり、再度掲載しました)
山田りお
英国の大河(?)ドラマ、Downton Abbey (ダウントン・アビー)ダウントン修道院という意味ですが、実際は巨大なダウントン城。その城に住むたくさんの人々の人生を描いた連続テレビドラマです。一年目が終わり、九月から英国で二年目のシーズンが始まります。
(これから書くのは、ぼくの感想で、批評ではありません)
ぼくは現在、完全にはまっています。
アメリカではPBSが放送しているので、録画しておいて何度もくりかえし見て、さらに英国で放送された版のDVDも買いました。こっちのはアメリカ版よりかなり長くて、細部が丁寧です。
細かい説明は避けますが、何度見ても、また見たくなるのには困ります。
大まかな主役グループみたいなものは、あるようで、ないようで、主役も脇役もない、と言ったほうが正しいと思います。
一見小さな役に見えても、登場人物の数だけ、たくさんの物語りがあるということです。
見る人は、貴族も、平民も、召使も、さまざまな人々の内面までを、しっかりと細部まで目撃し、何度でも噛み締めることができる。そういうドラマになっています。ぼくとしては、あたらしい映画「ジェーン・エア」とあわせて見ることをお勧めします。
このドラマの作家で、プロデューサーのジュリアン・フェロウズがテレビのインタビューで言った言葉を引用(直訳)します。
『1912年は、とてつもなく興味深い時代だと思う。なぜなら、近代社会が始まろうとしていて、自動車はすでにあり、電話と電気が広がっていく、女性に対する社会の見方が変わり始める。
もし、そういう細部を正しく
表現できれば、もちろん(現代の)多くの人が、その細部自体を知らなくてもいいのだ。(細部を正しく表現できれば)このドラマ全体が、言わば「信じられ
る」ものになる。そして見る人はこう思う、「ああ、そうか。こういう生きかたもあったんだな。」』
日本では、まだDVDが出ていないんですが、ぼくの勝手な憶測では、このドラマは、「絵面」では、大人向けの、難しいドラマに見えるようなので、若者志向の強い、配給関係の偉いおじさまたちは敬遠するんでしょう。
でも実際は、ダウントン・アビーは世界的人気になってきていて、とくにヨーロッパとアメリカ大陸ではブームが始まっています。
支持層は女性が多いような気がしますが、女性に限らず、男性にも、そして広い年齢層に、根強い人気があると思います。
それは、Downton Abbey には、「十代から中高年まで、みんなが夢中になる長編マンガ的要素がすべて満載されている」というのが人気の理由だと思われます。
ぼくも、時間さえ許せば、毎日でも見ちゃう。何度見てもどきどきする。
「あのシーン、もう一回見よう」そういう見方もできる。非常に困る。危険なテレビドラマですが、おかげで人生が豊かになりました。
ひとつだけ言いたいことは、このドラマでは、「あらすじ」は無意味だということ。
フェロウズ氏が言うとおり、細部を楽しむことができる人、一人一人の人間の内面に興味を持つことができる人にとって、ダウントン・アビーは、すばらしいワインです。
ひとつだけ言いたいことは、このドラマでは、「あらすじ」は無意味だということ。
フェロウズ氏が言うとおり、細部を楽しむことができる人、一人一人の人間の内面に興味を持つことができる人にとって、ダウントン・アビーは、すばらしいワインです。
しかし、日本語字幕をどうするのか、というのが心配なところですが。
なにしろ1900年代初めごろの英国貴族の英語、非常に丁寧で繊細な、言わば文学的な言い回しがいっぱいです。そして庶民の英語も当然あります、
一方で、字幕翻訳には、長さの制限があります。しかし、このドラマに限っては、ハリウッド映画の字幕のような「現代簡略日本語スラング」を使うと、大変に妙なことになります。
でも、画面の広さにも、時間にも限りがある。うーん。どうなりますか。
一方で、字幕翻訳には、長さの制限があります。しかし、このドラマに限っては、ハリウッド映画の字幕のような「現代簡略日本語スラング」を使うと、大変に妙なことになります。
でも、画面の広さにも、時間にも限りがある。うーん。どうなりますか。
ちょっとだけ、直訳してみます。貴族の若い女性と、やや身分の劣る若い男性がワインを飲んでいる場面です。雰囲気が伝わるといいのですが。。直訳ですので悪しからず。
(ヴィデオを見ながらの聞き書きなので、自信がありませんが)
Lが女性、Mは男性です。
(ヴィデオを見ながらの聞き書きなので、自信がありませんが)
Lが女性、Mは男性です。
(夜、ダイニング・ルーム。二人が、テーブルでワインを楽しんでいる)
L 「あなたは、物事の礼儀について、うるさくありません?ちがいます?」
M 「あなたはどうなんです?」
L 「あなたが思われるほどでもありませんわ・・・
スィビルを救ってくださってありがとう。とても勇敢なのですね。
あなたが、あの男を殴り倒した、と聞きました」
M 「義務を果たせたのなら、よかったです」
L 「あはたは義務に従う生き物なのですか?」
M 「完全にそうだとは言えません」
L 「あなたがわたくしといっしょに、笑ったり、ふざけたりしていらっしゃる時も、あなたは義務を果たしているわけですか?慣習に従って、世間から期待されることを、そのまま行っているわけですね」
M 「わたしを遊び道具にするのはおやめなさい。わたしが何をしました?あなたに言われたくはありません」
L 「スィビルを傷つけたら、許しませんわよ。彼女は、あなたを好きになり始めているんですから」
M 「あなたがそういうことになる(人を好きになる)とは、誰ひとり思わないでしょうね」
L 「それはわかりませんわ」
M 「あなたの言うことすべてに、からかいの響きがあります」
L 「ご自分に自信を持たれたほうがよろしいと思いますわ」
M 「思い出させてさしあげましょうか。わたしがここに初めて来た日、あなたはわたしを形容して、非常に選び抜かれた(つまり残酷な)言葉を使われました。
あの言葉は私の記憶の中に、あなたが言われた、あの日そのままに、今でも、鮮やかに生きているのです」
あの言葉は私の記憶の中に、あなたが言われた、あの日そのままに、今でも、鮮やかに生きているのです」
L 「何度も申し上げましたでしょう?私の申し上げることを、本気になさってはいけませんわ」(キスする)
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